定点KNOT (Kyodo western North Pacific Ocean Time series, 44°N, 155°E) における時系列観測は,
1998年6月から始まりました.
欧米では1988年から,JGOFS(Joint Global Ocean Flux Study)活動の一環で,
大西洋と太平洋の亜熱帯域にそれぞれBATS (Bermuda Atlantic Time-Series Study: 31°50'N, 64°10'W),
HOT (Hawaii Ocean time-Series, station ALOHA: 22°45'N, 158°00'W) なる時系列観測点が設けられ,
月1回以上の集中的な観測が行われてきました.また東部北太平洋亜寒帯域のOcean Station P(50°N, 145°W) は,
当初海象気象モニタリング点として設定され,物質循環に関わる集中的な観測も随時行われてきました.
これらの定点観測により,表層の生物活動や化学物質の季節変動要因,
長期的な表面二酸化炭素濃度の変化などが,それぞれの海域で解明されつつあります.
このような活動を受けて,西部北太平洋亜寒帯域における定点観測が,
JGOFS-JapanおよびJGOFS-NPTT (North Pacific Task Team)より
提案されました.この研究計画が科学技術振興事業団(JST)の戦略的基礎研究事業(CREST)に採択され,
1998年から観測が開始されました.
定点は西部亜寒帯循環の位置を考慮に入れ,
現実的な側面として,観測船で2〜3日で到着出来ること,
また北海道大学練習船北星丸の観測により過去のデータが蓄積していることなども鑑みて,
北緯44度,東経155度に定められました (左上地図).
観測は主に北星丸(北海道大学),望星丸(東海大学),みらい(JAMSTEC),白鳳丸(東京大学)の航海を
利用して行われました.1998年6月から2000年の10月まで,ほぼ月一回の観測を目指し,計27回の観測を果たしました.
しかし,冬季は荒天下の観測となるため観測頻度が低く,3,4月はデータを得ることが出来ませんでした.
観測内容としては,表面から底層までの各種化学成分(二酸化炭素およびその関連物質)の分析と,
表層のクロロフィル濃度および基礎生産速度測定,プランクトンネットによる生物試料採取,
表面二酸化炭素分圧の連続測定をほぼ毎回行いました.また,半分以上の航海で粒状有機炭素(POC),
溶存有機炭素(DOC),鉄および微量金属,ハロカーボン類,メタン,亜酸化窒素,全炭酸の炭素安定同位体比,
酸素・窒素・アルゴン比,トリウム-234の測定,およびフローティングセジメントトラップによる
表層沈降粒子の観測を行いました.
|