急峻な斜面を有する細長い高まりで、しばしば大洋の海盆を分ける。
活火山列の東方、29°45′-26°Nにある。全長420km。伊豆・小笠原弧の前弧外縁隆起帯をなす。媒島(海抜155m)、父島(海抜320m)、母島(海抜463m)などをのせる。小笠原舟状海盆側の海嶺の土台の水深は3,100-4,000mほど。海嶺の東斜面は伊豆・小笠原海溝陸側斜面に繋がる。海嶺の基盤は、斬新世-始新世の安山岩質岩石からなる。後期始新世には浅海環境にあった。[海6726]
若狭湾沖にある北東-南西方向に横たわる海底山脈。隠岐堆とも呼ばれる。長径170km、中央部の幅広いところで、50km。堆の南東側には大陸棚との間に隠岐舟状海盆をいだく。北西側は広大な大和海盆である。大和海盆からの比高1,500-2,500m。頂部の水深は256m(36°45′N、134°29′E)。300m-400mに顕著な平坦面がある。海嶺からは、微斜長石花崗岩、溶結凝灰岩(22Ma)、しそ輝石安山岩、かんらん石玄武岩、粗面玄武岩、流紋岩及び石英安山岩、珪藻質シルト岩などが知られる。下部中新統-下部鮮新統が褶曲、断層運動を受けて海底海嶺を形成したものである。海嶺頂部に広がる平坦面は、後期鮮新世には形成されていた。[海6401、6313]
大東海嶺の南にあり、全体として北西-南東方向をとる。土台の水深は4,000-5,000m。全長650km。北西部は台地状(110km×190km)をなし、沖大東島(海抜33m)をのせる。南西部は幅75kmほどで、その中央に地溝(沖大東舟状海盆、幅10-15km、長さ300km)を伴う2列の小海嶺からなる。燐灰岩、石灰岩、泥岩、ドレライト、安山岩、アルカリ玄武岩(65Ma)のほか、海嶺頂部付近からは広く古第三紀の大型有孔虫が知られる。現在のところ深成岩は採取されていない。沖大東海嶺は、後期白亜紀-古第三紀に赤道付近で島弧として形成され、現在の位置まで北上したと考えられている。なお、沖大東海嶺と大東海嶺の間の南大東海盆には、翁海山(水深1,620m)、還暦海山(2,220m)、喜寿海山(888m)、古希海山(1,180m)、米寿海山(88m)、白寿海山(3,600m)などからなる長寿海山群がある。[海6302]
北海道の日本海沿岸沖に、多少とも雁行を示しながらもほぼ南北に並ぶ堆列である。ここには、海山、海丘のほか堆列の間に海盆などが複雑に入り組んで分布する。42°50′N付近から海嶺状の小起伏の高まりが松前海台の北西端に向けて伸びる。北海道南西沖地震(1993)は、この高まりの分岐点付近で発生した。奥尻海嶺の西斜面麓は水深3,000-3,500mの日本海盆に移行する。海底地形名とは別に地質構造上からみると、奥尻海嶺の南縁は男鹿半島沖の男鹿向瀬、新礁さらには飛島地塊、粟島地塊へと続く。佐渡海嶺を含めたこの海域は、日本海東縁部と呼ばれ、第四紀初めより圧縮の場にあり、この奥尻海嶺の西斜面麓で新生プレートの沈み込み帯ができていると言われる。この活動を示す地震活動には続発性があり、活動の深さ分布は東傾斜で面状に並び、大地震のメカニズムも東西方向の主圧力によって発生した逆断層で、積丹半島沖地震(1940)、北海道南西沖地震(1993)、日本海中部地震(1983)、新潟地震(1963)などはこの例である。新生プレートの境界は、信濃川河口付近から長野県内陸部の地震帯へと繋がる。奥尻海嶺の形成の始まりは、鮮新世最末期-第四紀初頭前後と考えられている。[海6657、6311]
中部太平洋ガラパゴス諸島からエクアドル沖にいたる長さ850km、水深2,000-3,000m以浅の海底山脈。海嶺の東端は、南米大陸に衝突しており、北部のコロンビア海溝と南部のペルー・チリ海溝を分ける。[G5.11]
九州日向沖からパラオ島に至る海嶺でフィリピン海を東西に二分する。全てが連続する海嶺ではなく、海山列になっているところもある。幅70-100km、全長2,400km、海嶺の基底の水深は4,500-5,000mである。沖ノ鳥島は海嶺上の唯一の島である。海嶺は沖ノ鳥島付近から北部では東方へ、南部では西方に、いずれもゆるやかに弧状をなす。海嶺の北端部が西日本弧に衝突し、沈み込んでいることから、そこには南海トラフ沿いにみられるような新生の付加体は発達せず、陸側にくいこんだ馬蹄形の凹地ができている。海嶺の東斜面は、急傾斜で四国海盆に達する。比高5,000m、勾配40°にもなる急崖がある。背弧海盆である四国海盆の形成開始時にできた割れ目の痕跡と考えられている。また、斜面麓には海嶺に平行に深さ100mから1,000mを越す凹地がある。一方、海嶺の西斜面側へは地形の高まりの張り出しがみられる。海嶺北部からは、花崗閃緑岩(48Ma)、石英安山岩(25、26Ma)、安山岩、ドレライト、玄武岩、石灰岩などが採取されている。九州・パラオ海嶺と伊豆・小笠原弧は、もとはひとつの島弧であり、中・後期始新世には幅300km、長さ3,000kmの壮大な島弧(原弧は、少なくとも始新世初期(48-49Ma)の火山活動に始まると考えられている)であった。そこに伸張が働き、東西に引き裂かれその間に背弧海盆が生じた。この結果生まれたのが四国海盆であり、沖ノ鳥島海盆である。[海6725、6302]
赤道直下のギルバート諸島を頂く海嶺。北北西-南南東方向の全長950km。海嶺の西側は、水深4,000-4,500mのメラネシア海盆。東側は水深4,500-6,000mの中部太平洋海盆である。[G5.06、5.10]
ハワイ島のはるか南南東にある。全長850km。頂部では急峻なところもあるが、水深5,000m付近から4,000-4,500mにゆるく盛り上がる地形で海膨に近い。[G5.07]
南太平洋ケルマデック諸島を頂く海底山脈。ケルマデック海溝と対をなす。全長1,300km、幅80km。北方でトンガ海嶺に続く。ケルマデック海嶺西側のハーブル舟状海盆は、ケルマデック弧の背弧海盆である。[G5.10]
中央アメリカのコスタリカ沖にある海嶺で、名称は海嶺の北西側にあるココス島に由来する。南西端はガラパゴス諸島に達する。水深3,000以浅で北東―南西方向に全長970km、幅200kmである。[G5.07]
ケルマデック諸島(海嶺)の西側をほぼ南北に全長1,100km。西側の南フィージー海盆からの比高は3,000mである。北方はラウ海嶺に続く。[G5.10]
東太平洋海膨の赤道付近からガラパゴス諸島の北にかけて、東西に1,000km以上に延びる。水深3,000m以浅の海嶺で尾根と谷が入り組む。コロン海嶺は、東太平洋海膨中軸上の1°40′N、102°W付近を頂点(ガラパゴス三重点)として、扇状に南北に拡大を続けるガラパゴス拡大軸の中心をなす。海嶺東端の裾野の年代は中新世末期(6Ma)である。[G5.07]
本州西岸の男鹿半島沖から佐渡島にかけて、幅100kmほどの基盤の高まりがあり、その上に北北東-南南西方向に並ぶ最上堆、向瀬(堆)、月山礁(堆)、越路礁(堆)などがのる。海嶺全体では南側で隆起しかつ西側に傾動している。海嶺は、北北東―南南西もしくは南北方向の構造で規制され、さらにこれに交わる構造によって、海嶺はより小さなブロック(個々の堆)になっている。海嶺には広く中期中新世-鮮新世の地層が分布する。海嶺は鮮新世後期以降の構造運動で形作られた。海嶺の西側斜面麓は大和海盆に移行する。[海6660、6312]
東太平洋海膨東方の25°-26°S付近を、102°Wから87°45′W付近までの全長1,500km。イースター断裂帯の北側にありその一部をなす。海嶺の西方にサライゴメス島がある。[G5.11]
伊豆・小笠原弧の中心となる海底山脈で、ほぼ南北に1,200km。24°N付近でマリアナ海嶺に繋がる。海嶺最頂部は伊豆七島、火山列島などの火山島と海底火山とからなる。海底でも噴火活動がみられ、西之島新島以外にも、明神礁、福徳岡ノ場などで新島が形成されたことがあった。海嶺から採取の火山岩は酸性岩からアルカリ岩まで多種である。北部には酸性岩を噴出したカルデラ火山が多い。一方、南部の火山岩は、北部に比べアルカリ元素含有量が多い。アルカリ岩の噴出が硫黄島-南日吉海山に認められる。とくに、海嶺北部では火山フロントのすぐ西側に背弧凹地あるいはリフトと呼ばれる陥没性の海盆がみられる。[海6726]
水深3,000mほどのベーリング海盆からそびえる海底山脈で、最浅部は200mを切る。170°E付近を南北に長さ550km、幅の広いところで180km。山脈の西側がカムチャツカ海盆で、東側がアリューシャン海盆である。[G5.02]
伊豆半島南方65kmの銭洲(海抜13m)から南西に170km伸びる。幅25km。北西斜面側は南海舟状海盆になる。海嶺西端近くに遠州灘沖海山(水深2,680m)がある。銭州付近から両輝石安山岩(2.9Ma)と普通輝石角閃石玄武岩(3.3Ma)が得られている。なお、銭州海嶺の少なくとも四国海盆側に張り出している地形については、海洋性地殻からなるともいわれているが、西端の遠州灘沖海山から石英安山岩が得られるなど、銭州海嶺の地質構造は複雑である。また、銭州海嶺の南東斜面麓で四国海盆側からの沈み込みが始まっているともいわれる。[海6603]
沖縄群島東方沖。海嶺の西・中部では西北西-東南東の方向であるのが、東部では西南西-東北東に変わり海嶺の幅も狭まり、東端は九州・パラオ海嶺に接する。全長560kmほど。海嶺の土台の水深は4,000-5,000m。海嶺は並走する数列の高まりとその中間の小トラフからなり、地溝・地塁構造を示す。南側斜面は単調な急斜面となる。西部には、北大東島(海抜74m)と南大東島(海抜75m)がある。隆起環礁である北大東島でのボーリング(最大深度431m)によると、基盤岩石までは到達していないが、上部漸新統にいたるまで礁性堆積物でおおわれていることが判明した。一方、大東海嶺上からは、変動帯を特徴づける多種多様の岩石が得られているほか、チョーク(漸新世)、大型有孔虫(後期漸新世)、ナノ化石(中・後期漸新世)が得られている。大東海嶺の頂部は、古第三紀には海面近くにあったことを示す。[海6725、6302]
南太平洋トンガ諸島を頂く。ほぼ南北方向の海底山脈で、長さ900km、幅80km。トンガ海溝と対をなす。トンガ海嶺の西側のラウ海盆は、トンガ弧の背弧海盆である。[G5.10]
北東―南西方向に全長1,200km,幅170kmである。比高は1,000-3,000m程で、頂部の水深は南部で浅い。海嶺の東端はペルー沖で海溝の幅を狭め、北のペルー海溝と南のチリ海溝を分ける。ナスカ海嶺が沈み込むところのナスカプレートのスラブの勾配は、他の地区に比べてゆるくなっている。[G5.11]
琉球弧の地背斜に相当し、九州南端から台湾東方にいたる1,200kmの一大海底山脈で、大隅群島から先島群島に至る島々を頂く。海嶺の東側は南西諸島海溝で、西側は沖縄舟状海盆である。知られる最も古い地質は古生界で、この他白亜紀から古第三紀にわたる四万十帯が本海域の基盤をなす。鮮新世には、海溝の発達に呼応して海嶺部の隆起とその背後の沖縄舟状海盆での沈降が進展した。火山フロントは北部では海嶺頂部とほぼ一致するが、中部で海嶺の西縁付近に分布し、南部では沖縄舟状海盆内に分布するようになる。[海6302]
四国海盆と伊豆・小笠原弧の西縁を境する海山列で、伊豆七島西方沖から西之島西方に至る南北720kmに配列する。地質構造上からというよりは、島弧の軸に対して雁行配列する海嶺・海山列の西側に位置する海山に注目した分類に近い。雁行配列する個々の海山の規模は四国海盆寄りで大きい。各海山からは様々な岩石が得られている。南寛政海山(水深2,010m)と文政海山(水深1,810m)からデイサイト、正保海山(水深375m)と慶安海山(水深698m)から両輝石安山岩、西貞享海山(水深639m)、安政海山(水深810m)と、天保海山(水深1,120m)から玄武岩(11、15Ma)が知られる。[海6302]
ニューカレドニア南方に位置するノーフォーク海嶺の南延長部にあり、ニュージーランド北島方向に湾曲する。全長550km。海嶺西側のニューカレドニア舟状海盆からの比高は、大きいところで2,500m。[G5.10]
12°-23°20′Nにわたり、幅100km、長さ1,400kmの弧状の海嶺。西側の沖ノ鳥島海盆からの比高は2,000-3,000m。荒金礁(水深9.1m)、パスファインダー礁(水深14.6m)などの浅所がある。海嶺の東側はマリアナ舟状海盆である。海嶺北部からは、デイサイト、火山砕屑岩、泥岩などが得られている。マリアナ弧から分離した古島弧(9-29Ma)である。[海6302]
ハワイ諸島ネッカー島(9-11Ma)から南西に610km、幅45kmの細長い海嶺。水深4,500-4,700mから比高1,000-2,000mほどの山脈。隣接するハワイ諸島(ハワイ海嶺)よりはかなり古い時代(70-80Ma)の海嶺である。[G5.07]
南太平洋ニューカレドニアの南端からほぼ南北に770km。比高は高いところで3,000m。幅は一様ではないが平均的には90km。海嶺の南寄りにはノーフォーク島がある。[G5.10]
北西-南東方向に3,500kmで、ハワイ諸島、ミッドウエイ島を頂く。地球内部に固定されているマグマの噴出点(ホットスポット)を、海底が次から次へと移動して行くときに海嶺が生まれた。南端に近いハワイ島には、マウナ・ケアやマウナ・ロアの活火山があり、最南端には、現在ホットスポット上でまさに形成されつつあるロイヒ海底火山がある。北端に近いミッドウエイ島は中新世(18Ma)の形成である。8cm/年の海底移動が推算されている。なお、海嶺の延長方向は、32°N付近(コラハン海山と桓武海山の間)で大きく北へと屈曲し、天皇海山列へと続く。この屈曲点(ハワイ-天皇ベンドと呼ばれる)は、後期始新世(43Ma)に太平洋プレートの運動方向が変化したために生じたものと考えられている。[G5.06、5.07]
12°25′-23°30′Nに、長さ1,600kmにわたり弓状に東側に張り出している海嶺である。一般にはマリアナ海嶺といわれることが多い。幅は広いところで120kmである。東側はマリアナ海溝、西側はマリアナ舟状海盆(トラフ)である。北部には、活火山のパハロス(ウラカス)島、パガン島のほか、第四紀火山のモウグ、アラマガン、アナタハン島などがある。一方、南部では、サイパン島からグァム島に至る島々で第四紀火山はみられず、基盤に花崗岩質礫をおき、不整合に安山岩類、始新統をのせる。第四紀火山を連ねた高まりを区別して、中マリアナ海嶺と呼んでいるが、東マリアナ海嶺(前弧海嶺)と中マリアナ海嶺(火山フロント)はひとつの大きな山脈にのっていることから、地形上からは一般には区別しにくい。[G5.06]
アリューシャン列島キスカ島の東方からベーリング海に向かって北方に弓状に張り出す海嶺。全長750km。水深22mのボワーズ堆をのせる。北方のシルショフ海嶺とは、海山の飛び石伝いにS字状に繋がる。[G5.02]
日本海のほぼ中央にある一大浅所。南の大和海盆からの比高は最大2,500mである。地形は東北東-西南西方向を示す。海嶺は大和堆、北大和堆、拓洋堆、西拓洋堆などの浅所の集まりである。この中で大和堆が最大で、大和堆自体が幾つかの地塊の集まりになっていて、頂部付近の水深280-450mにかけては数段の平坦面が見られる。大和堆とその北の北大和堆との間には、比深1,000m以上の地溝である北大和舟状海盆がある。大和海嶺の頂部の平坦面は、0.7-2.4Maに形成された。197-227Maの花崗岩類、中生代末期の溶結凝灰岩、火山岩類(19-26Ma)の分布が知られる。また、北側斜面基部には中新世-前期鮮新世の珪藻質泥岩が分布する。[G5.06]
トンガ海嶺の西方。海嶺北部では、フィジー諸島のサンゴ礁の島をのせる。全長850km。東側は水深2,000-3,000mのラウ海盆(トンガ弧の背弧海盆)で、西側は水深4,000mを越える南フィジー海盆である。[G5.10]
南西太平洋海盆の中にあり、海山列に近い配列。トンガ海溝とケルマデック海溝の境界付近から南東に長さ2,400km。オスボン海山、バレリー平頂海山(水深788m)などが含まれる。多くの海山が水深5,500m以上の深さからそびえる。[G5.10]