植物プランクトンが異常に増殖することによる海水の変色現象をいう。まれにはバクテリアや動物プランクトンが赤潮を起こす。色は原因となる生物の種や量によって、褐色や緑色を呈することもある。赤潮は魚貝類の大量へい死を引き起こすことがある。赤潮は増殖の制限因子となっている栄養塩類等が適当な条件の基に供給されるために起こると考えられ、海の富栄養化の進行にともなって発生頻度を増している。
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北太平洋の北緯42-50度を東流する広く弱い海流。亜寒帯循環の南縁部を形づくり、北海道ないしは三陸沖で反転し北東に向かう親潮に端を発する。流れとしては亜熱帯循環の北縁をなす北太平洋海流と連続しているが、亜寒帯前線の北側に位置し、北太平洋海流に比べて順圧的で、流れの厚さは非常に大きい。
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北半球亜寒帯域にある反時計周りの循環で、太平洋では亜寒帯海流・アラスカ海流・アリューシャン海流・東カムチャッカ海流・親潮で形づくられる。北大西洋では、北大西洋海流が北極海まで北上するために、亜寒帯循環はあまり明確でない。南半球では東西を陸で遮られないので代わりに、亜寒帯域に南極大陸を巡る南極環流がある。
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通常北太平洋亜寒帯海域(北緯40〜45度以北)にある水塊で、その南限が亜寒帯前線である。亜南極水をも含めた総称として用いられることもある。亜寒帯水の表面の塩分は他の海洋に比べ著しく低く、水温も比較的低い。塩分は一般に深さと共に増大するが、冬期の混合が及ぶ上層の下に著しい塩分躍層がある。西部亜寒帯では夏期に上層下部に水温の極小層(中冷層)が表れる。大西洋では中央水が北方に広がり、亜寒帯水はほとんど存在しない。
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南半球の亜寒帯域、南極収束線と亜熱帯収束線の間に存在する水塊。南極亜寒帯水と呼ばれることもある。この水塊の上層500mに亜南極上層水があり、その下に南極中層水がある。上層水の温度は冬期で4〜10度℃、夏期で14度℃、塩分は冬期で33.9〜34.9psu、氷の溶ける夏期で33.0psu程度である。1,500m以深には深層水があって、その下層は南極周極水につながっている。
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長崎湾で発生するセイシュ(副振動)を指す。湾の固有振動周期に対応する約35分の周期をもつ海面昇降であるが、他の海湾のセイシュに比べ振幅が大きく、湾奥で時には4〜5mに達することがある。そのため低地での浸水、係船ロープの切断、荷役への支障等の被害が起こる。大振幅のあびきは台風等の襲来時ではなく、長崎周辺の天候が静穏であるときに多く発生し、その原因は東シナ海上に生じた気圧振動にあると考えられている。
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亜寒帯水の南縁、亜寒帯海流と北太平洋海流の間に形成される前線(あるいは前線帯)で、北太平洋では北緯42度近くを東西に延びている。その位置は塩分の南北断面で34.0psuの等塩分線が上層数百mをほぼ鉛直に走っている所を指標として決め得る。この緯度は偏西風の風速が最大となる位置であり、表層水の収束域となるので、亜寒帯収束線とも呼ばれる。北大西洋では湾流とラブラドル海流の間に形成される前線を指す。
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中緯度・亜熱帯海域を東西に走る表面流の弱い収束線で亜熱帯収束線(Subtropical convergence)とも呼ばれる。南半球では、各大洋の中央水と亜南極海域の水塊との境をなしている。北太平洋では中央水内部での南西流と北赤道海流との間にある収束線を指すのが普通であるが、あまり明確な前線ではない。
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中層水より下部、数百ないし千数百mより深い深層を占める水を指すが、海底近くにある水を底層水として区別することが多い。冬期の冷却によって、表層の水が深層水の密度に達し得る海域すなわち深層水の生成域は、北大西洋のグリーンランド近海と南極大陸周辺(特にウエッデル海)だけである。深層水の水温・塩分には場所によってあまり大きな差はなく、水温は氷点より1〜2℃高い程度である。
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海洋の上層にある水を云う。上層の定義はやや便宜的で、高緯度においては冬期の対流・混合の及ぶ深さまでを指すが、一般には海面から主水温躍層の上までの、顕著な移流や混合の存在している部分ないしは季節変化の及ぶ部分を指す。海域によってその厚さや性質は大きく異なる。
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中緯度の海洋の上層水と深層水にはさまれた水を云うが、一般に塩分の極小層によって識別されている。北半球では太平洋でよく発達しており、亜寒帯前線付近の中層での水塊変質によって生成された水が、亜熱帯域に潜り込んできたものとされる。北大西洋では高塩分の地中海水が広く分布するため、塩分極小層で定義しえる中層水は狭い範囲にしか存在しない。南半球では南極収束線から沈降した水により中層水が形成され、大西洋では赤道を越えて北緯20度付近にまで達する。
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通常4,000m以深の深海の底層の水を指す。深層水との区別は必ずしも明確でない。しかし例えば大西洋では南極大陸周辺に起源を持つ水が、北大西洋北部で沈降した深層水の下を海底沿いに広がっており、両者は明確に区別し得る。この水を南極底層水と呼んでいる。この南極底層水は赤道を越え中緯度の北大西洋まで追うことができる。この言葉は、浅海や陸棚上での海底に沿った薄い水の層を指す場合にも用いられる。
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海洋学では、観測された水温と塩分の分布から海流場を計算することを力学計算と云う。海水の密度は、水温・塩分・圧力(深さ)によって決まるから、これらの観測値から密度分布が求め得る。ある深度で流れが無いとすると、その深度面が等圧面となる。それを規準に密度分布を鉛直に積分することによって各深度面で相対的な圧力場が求められ、地衡流の関係から流速場が計算できる。厳密には流れの無い無流面はないから、力学計算から求められる流れは基準面の流速に相対的なものとなる。
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風浪が発生域を離れるなどして、風の直接の影響を受けなくなった状態の波をうねりと言う。風浪が尖った峰を持ち、複雑な形状をしているのに対し、うねりは周期も比較的長く、丸みをおびた峰を持ち、峰線も長く続き規則的である。これは発生域を離れる際に波が成分波の間の非線形相互作用によって、短周期成分を失いスペクトル幅も狭くなることによる。うねりの形になった波は大洋をほとんど減衰することなく横断する。
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港湾・陸棚や湖沼の起こす固有振動をセイシュと呼ぶ。語源はジュネーブ湖に起こる長周期の振動に対する方言からきている。静振あるいは副振動とも呼ばれる。セイシュを起こす原因は気圧振動や風等種々あるが、外洋に開いた海湾では外からくる各種の波動が重要である。例えば大船渡湾の固有振動周期は約40分あるが、周期が長かったチリ津波に対して共鳴現象を起こし、湾奥に大きな被害をもたらした。
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風によって起こされた波で、風域内で風の作用を受け続けている波をいう。これに対して風域外に出て峰が丸みを帯びた波をうねりと呼ぶ。風浪は種々の方向に向かう、種々の波長(周期)を持った波の集合で、個々の峰の尖った不規則な複雑な形をしており、その状態は正確には2次元スペクトルで表される。しかし実用的には有義波や一次元スペクトルによる表現が広く用いられる。風浪の大きさを支配するのは、風速と風の吹送距離・連吹時間であり単純な条件下では、これらの値から有義波の波高・周期あるいは波のスペクトルを予報することができる(SMB法・PNJ法)。現在の予報では波のエネルギー方程式を直接電子計算機で解く方法が取られる。
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風によって海洋の表面に起こる諸種の波、風浪・うねり・磯波をひっくるめて言う場合に使われる言葉である。それぞれについては、各項目を参照されたい。
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水面を伝わる波の方程式で、波形勾配が小さいとして、その二次以上の項を省略して線形化した場合に得られる解を無限小振幅波という。エアリー波と呼ぶこともある。歴史的に無限小という言葉を使うが、進行重力波の最大の波形勾配が1/7であるように、波の波形勾配が一般に小さいので適用範囲は非常に広い。波の性質については、重力波・浅水波・深水波・表面張力波の項を参照されたい。
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海水1kg中に含まれている固形物質の全量をグラムで表したものを塩分という。ただし全ての炭酸塩は酸化物にかえ、臭素、よう素はすべて塩素に置き換え、有機物は完全に酸化するものとする。しかしこの測定は容易でないので、海水のイオン組成が場所によらず一定であることを利用して、通常は塩素量あるいは海水の電気伝導度を測定して換算する。塩分の単位は千分率(パーミル)であるが、電気伝導度から求めた場合には実用塩分単位(psu)を用いる。
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通常海水の塩分の単位には千分率(パーミル)が用いられるが、最近海水の電気伝導度の測定から塩分を求める場合が多くなり、化学的な分析から得られた塩分と区別するために、その場合の塩分値に千分率(パーミル)の代わりにpsuを付けるようになっている。これを実用塩分単位と呼ぶ。
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海水1kg中に含まれる塩素、臭素、よう素の全量をグラムで表したものを塩素量という。ただし、臭素とよう素は塩素に置換されているものとする。塩素量の単位には千分率(パーミル)を用いる。海水のイオン組成が場所によらず一定であるので、塩素量と塩分の間には一定の関係があり、通常塩素量を測定してそれを塩分に換算することが行われる。
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1959年9月26日に伊勢湾を襲った台風で、わが国近年の観測史上最大の高潮をもたらした台風で、名古屋港での最大偏差は3.5mに達した。潮岬で観測された最低気圧は929.5hPaで1934年の室戸台風、1945年の枕崎台風に次ぐ。この台風の中心は紀伊半島を縦断する形で通過し、伊勢湾の軸に沿って台風の危険半円の最高風速部が通過し、その風向が湾奥に向っていた。またその移動速度が水の長波速度とほぼ一致したことも最大の高潮をもたらした原因である。
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水面を伝わる波の非線形特性を分類するのに用いられる無次元数。アーセル数Uは、aを波の振幅、λを波長、hを水深として、
で表される。Uが1に比べてずっと小さければ水深による非線形効果は無視できて有限水深の波はストークス波で記述され、1よりずっと大きくなれば段波(ボアー)以外に波形を変えない波は存在しない。Uが1のオーダーであれば、クノイダル波・孤立波と呼ばれる非線形の波形を変えない波が存在する。
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風浪やうねりが海岸に近づくと、水深の減少にともない波長が短くなり、波高が高くなる。また、波形も非対象となり峰の前面の傾きが大きくなる。波形の変形がある限界を越すと不安定となり波は砕ける。このような海岸近くでの砕け波を磯波と呼び、磯波の存在する部分を磯波帯または碎波帯 (surf zone)と呼ぶ。砕け波は、その砕け方によって巻き波、崩れ波、崩れ巻き波等に分類される。碎波帯には波の質量輸送にともなう複雑な海浜流が生じる。
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波長に比べて、水深が十分大きいときの水面を伝わる重力波。深海波、表面波とも言う。位相波速は、gを重力の加速度、λを波長、Tを周期として、
で与えられる。この式は水深が波長の半分より深ければ1%以下の誤差で成り立つ。エネルギーの伝播速度・群速度は位相速度の1/2である。水粒子は円軌道を描き、その半径は深さと共に指数関数的に減少し、運動が表面近くに限られるのが表面波とも呼ばれる理由である。
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水深が波長に比べて十分小さい場合の水面を伝わる重力波。浅海波、長波とも言う。位相波速は波長・周期によらず、水深だけで決まり、gを重力の加速度、hを水深として、
で与えられる。この式は水深が波長の百分の一以下で1%、二十分の一以下で5%以下の誤差で成り立つ。波高が小さければ水粒子の軌道は波の進行方向の水平直線往復運動となる。浅水波の仮定の基では、形を変えずに伝わる有限振幅の波は、段波だけで周期的な非線型波は存在しない。
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浅水を波形を変えずに伝わる有限振幅の波で、波形がヤコビの楕円関数 cn の自乗で表されることからクノイダル波と呼ばれる。波高が水深に匹敵するほど大きくなると、非線形効果で峰の部分の進行速度が他の部分に比べ速くなり、波が変形する傾向を持つ。しかし、アーセル数が1のオーダーであると、峰の部分の曲率の効果とが相殺して、変形しない波の解がでる。クノイダル波の波長を増大させた極限として孤立波が得られる。
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浅水を波形を変えずに伝わる、ただ一つの峰を持った非線形波。クノイダル波の波長を無限大とした極限にあたる。うねり等が海岸近くの浅い部分に進入したとき、峰が尖り谷が平になるが、平らな谷に隔てられた個々の峰の振舞いが、孤立波で近似できる。アーセル数が1のオーダーで、波を支配する方程式はKdV方程式となり、自然界に広く存在する非線形孤立波の一つの例として、粒子的な振舞いをする。
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水面を波形を変えずに伝播する有限振幅波。1847年にStokesによって渦無しの条件の基で展開形で導かれた非線型重力波。振幅が増すと、波の峯が尖り、谷が平になって行く。しかし頂角120度以下あるいは波形勾配1/7以上に成ると碎波し、安定した波形の無いことが示される。波速も振幅と共に増加し、最大波形勾配のとき、無限小振幅波に比べ約10%速くなる。水粒子の軌道は閉じず、波の進行方向に水が輸送される。このような非線型効果による実質部の輸送をストークス輸送という。
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純粋の表面張力波にたいして導かれた有限振幅波。1957年にCrapperが渦無しの条件の基で、運動方程式の完全解としてこの波を求めた。非線型重力波(ストークス波)とは逆に、波形は振幅が増すと共に、峯が平になり谷が尖る。波形勾配が0.73で、谷の部分に空気を取り込んでそこに泡を作る形で碎波する。波速は振幅と共に減少する。最大波形勾配での波速は、無限小振幅波の約81%となる。
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水深の大きい水の表面を形を変えずに伝わる有限振幅の波で、1802年Gerstnerによって運動方程式の厳密解として導かれた。波高が増すと、波の峰が尖り谷が平になる。水粒子の運動が無限小振幅波と同様に、円軌道を描くとして導かれたものである。波形がトロコイド曲線になるので、トロコイダル波とも呼ばれる。波速は無限小振幅波に等しく波高によらない。厳密解ではあるが渦度をともない、現実の波はストークス波に近いと考えられている。
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流体の自由表面近くの運動を特性付ける無次元数で、その運動にともなう速度v を√(gh) (gは重力の加速度、hは代表的な長さで通常は水深)で割ったもの。√(gh)はその水深hでの水の長波の波速で、波動として情報を伝え得る最大の速度を与える。音速にたいして定義されるマッハ数に対応する。ある条件のもとでフルード数を同じに取れば運動が相似になるので、実験の結果を実際に対応させるため模型の水平・鉛直スケールを歪めてフルード数を実際に合わせることがよく行われる。
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インド洋の南半球亜熱帯循環の西縁を構成する強大な海流。モザンビーク海峡を通る部分をモザンビーク海流とも呼ぶ。海峡を抜けた後、沖合いの流れも合わせて、海岸沿いにアフリカ南端のアグラハス岬に達する。アフリカ南端で流向を南へ変え、大部分の水は東に転じて南極海流の一部を構成する。一部は大西洋に入りアフリカ西岸沿いに北上するベンゲラ海流に合流する。アフリカ南端付近での海況は非常に変動性に富み、大小の渦が常に存在している。
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砂のような可動性の堆積物で覆われた海岸を一般に浜と言うが、その範囲は厳密には干潮水面から満潮水面の少し上、暴風時に海水が来る所までを指す。浜の上端が海岸線である。浜はさらに、満潮水面に波の遡上する高さを加えた位置を境に、それより上を後浜、それより下を前浜と呼ぶ。浜をより沖側まで取り、可動性堆積物が存在する限界までを指すことがあるが、この時前浜より沖、砕波帯までを内浜、それより沖を外浜と言う。
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夏の土用(立秋の前18日間)の頃、風の無い日に海岸に打ち寄せる大波をいう。この頃にしばしば発生する洋上遥かにある台風によって起こされたうねりであるが、気象の観測・予報体制の無かった昔には、土用波は非常に恐れられ、警戒された。
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沿岸の海水面が、潮汐・津波・高潮等の場合のような明確な原因なしに、異常に昇降する現象を異常潮位という。時として、かなりの広域において30〜40cmの水位上昇が数週間続くことがある。その原因は、主として海象の異常によると考えられている。地衡流の平衡にある黒潮は、その沖側が岸側よりも約1mも高い。したがって黒潮の表面流速が減少したり、黒潮の内側に反流を生じたりすると、この程度の水位変化は容易に起こり得る。
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ある場所における波浪の統計的な性質、平均的な波高・周期、最高波高とその季節変化といったその場所の波浪特性を波候という。海洋建造物の設計や、海上工事の計画・実施、航海の安全や経済的運航等にたいする基礎資料として重要である。実際の観測資料が十分でない場合には、気象条件から推算した波浪条件が利用される。
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北太平洋の亜寒帯循環の東縁を構成し、カナダの北西岸沿いに北上し、アラスカ湾を反時計回りに流れる海流。亜寒帯海流は北米西岸沖で2つに別れ、一部は南流してカリフォルニア海流となるが、北流したものがアラスカ海流につながる。アラスカ湾北岸沿いに西に向かう流れの一部はアリューシャン列島の南に沿って西流しアリューシャン海流となるが、一部は南下してアラスカ湾内に一つの循環を作ると考えられている。
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太平洋の亜寒帯循環は、その循環の中に2つの反時計周りの循環、西部亜寒帯循環とアラスカ湾内を巡るアラスカ循環を持つと考えられているが、両者の境界は必ずしも明確ではない。アラスカ循環域の冬期の冷却は西部ほど強くなく、上層の水温は冬期にも、塩分躍層上部の水温よりも下がらず、夏期に上層下部に中冷層が現れない。この特性によってアラスカ循環域の水塊と西部亜寒帯域の水塊を区別している。
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アリューシャン列島沿いにその南側を西に流れる海流。アラスカン・ストリームとも呼ばれる。アラスカ湾北岸沿いに西流するアラスカ海流に元を発する。亜寒帯循環を構成する海流の流速は数cm/sと一般に弱いが、アリューシャン海流の部分の流速は十数cm/sに達する。この海流で運ばれた水のほぼ半分はアムチトカ海峡を通ってベーリング海にはいるが、残りはアッツ島の西まで西進してから北上して、西部亜寒帯循環の水と共にベーリング海にはいる。
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太平洋亜寒帯循環の中にある2つの反時計回りの循環の内、西側にあるものを言う。その東側の境界は明確でないが、ほぼ東経155度から東経175度ぐらいまでに存在する。循環域は北に延びて、その北縁はベーリング海の中にある。冬期の上層の冷却が激しく、冬季の上層水温は塩分躍層上部の水温よりも下がる。夏期の海面からの加熱によって表層の温度が上がり、季節水温躍層が形成されると、上層下部に顕著な水温極小層(中冷層)が現れる。
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20分程度の時間内に観測された波を、高いものから順にその1/3を選んで、それらの波の平均波高と平均周期を自分の波高および周期とする波を有義波と呼ぶ。この定義から1/3最大波と呼ぶことがある。有義波の波高・周期は、熟練した観測者が目視観測で報告してくる波高・周期に対応するように決められたもので、複雑な形状をもつ海洋の波浪の簡便な表現法として広く用いられる。天気予報等で通常用いられるのも有義波の波高・周期である。
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各大洋の亜熱帯域に存在する高気圧性の循環。太平洋では北赤道海流・黒潮・黒潮続流・北太平洋海流・カリフォルニア海流からなる。自転している地球上では水は全体として風に対して直角右向き(北半球)に運ばれるが、循環の北縁を吹く偏西風と南縁を吹く北東貿易風により、循環の中央部の水位が高められ、海流は地衡流として海面の等高線(等圧面)に沿ってその周りを巡る。全ての亜熱帯循環は、北太平洋の黒潮や北大西洋の湾流の様に、西岸沿いに高緯度に向かう部分に強大な海流を持つ。これはコリオリの力の働き方の緯度変化の効果(β効果)によるもので、西岸強化の現象と呼ばれる。
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亜熱帯循環の内部に、台湾の東方から北緯20度付近を東に向かう弱い流れがあり、これを亜熱帯反流と呼ぶ。1960年代に我が国の研究者によってその存在が明らかにされた。この海流にともなって海洋上層に前線が形成されているが、その様相から一本の流れというよりも幾つかの平行する流れの集まりと見なすべきであろう。北大西洋等にも同様の海流があるとの指摘もあるが、あまり明確ではない。
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水温・塩分の値がほぼ一定の水が広く厚く分布しているものをモード水と呼ぶ。北大西洋のサルガッソー海付近に、数百mの厚さを持った水温約18℃、塩分36.4〜36.5psuの水が広く分布しており、これを北大西洋の亜熱帯モード水または、18℃ウオーターと呼ぶ。太平洋でも黒潮の外側の海域に、17℃前後の水温を持つ同様のモード水が見られ、北太平洋亜熱帯モード水と呼ばれている。
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大西洋の北赤道海流は、赤道を越えてきた南赤道海流の水を加えて西流し、その大部分はメキシコ湾に入るが、一部はアンチール諸島の外側沿いに北流する。この部分の海流をアンチール海流という。この海流は、メキシコ湾を経由しフロリダ半島とキューバの間から流れ出たフロリダ海流と、バハマ諸島の北で合流する。流量はフロリダ海流の半分程度の毎秒1,200万トン程度であるが、顕著な季節変動を示す。
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海水の密度は、圧力の他水温と塩分によって決まる。このような二成分系においては、最初密度的に安定な成層であっても、二つの成分の拡散係数に差があると不安定を起こして、対流を起こすことがある。このようにして起こされた対流を二重拡散対流と呼ぶ。熱の拡散係数は塩分のそれに比べ100倍も大きく、海洋中にはソルトフィンガー型対流と拡散型対流の二種の二重拡散対流が生じている所があり、海洋微細構造の決定と海水の混合に重要な役割を果たしている。
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海水中等で、上層ほど水温も塩分も高くなっている安定成層、すなわち水温が成層の安定要因となり塩分が不安定要因になっているが全体としては安定である成層、の中に生じる対流をいう。対流セルが細長く上下に指のように延びるのでこの名がつけられている。熱の拡散係数が塩分のそれより100倍も大きいため、時間と共に水温勾配が塩分の勾配よりも速く解消するために起こる。大西洋の地中海の入口の近くの地中海水の下部に、この対流によって生じた水温・塩分のステップ構造が見られるのが、その代表的な例である。
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海水中等で、上層ほど水温も塩分も低くなっている安定成層、すなわち水温が成層の不安定要因となり塩分が安定要因になっているが全体としては安定である成層、の中に生じる二重拡散対流。1つの界面の上側により低温低塩分の水があるとすると、熱の拡散係数が塩分より大きいため、塩分分布を保存したまま上層の下部が暖められ、下層の上部が冷やされる。そのため界面を境にする安定度は時間と共に増大するが、上層・下層のそれぞれの内部で不安定が生じて対流が起こる。このことから安定過剰型対流と呼ばれることがある。
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一定の圧力の下では、海水の密度は水温と塩分で決まる。しかしその関係は線形的ではなく、水温・塩分を縦軸・横軸に取った図(T-Sダイアグラム)上での等密度線は曲線となる。したがfって、例えば同じ密度を持つが異なる水温・塩分を持つ二つの水が等量混ざり合ったとすると、水温・塩分値はちょうど中間の値を持つ混合水の密度は、元の密度より僅かに大きくなる。このような混合により密度の増大する現象をキャベリングという。
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潮汐を起こす力をいう。月(あるいは太陽)は地球と共に、その共通の重心の周りを公転している。これに伴う遠心力は地球の中心で月の引力と釣合っている。公転による遠心力は、中心でも地表のどこでも同じであるが、引力は月に近いほど大きい。したがって、月に面した所では引力が遠心力に打ち勝ち、反対の場所では遠心力が引力に打ち勝って、共に水面を上昇させようとする力が働き、中間の所では水面を下げようとする力が働く。このように起潮力は天体から受ける引力の場所による差によって生じるもので、引力が天体までの距離の2乗に逆比例するのに対して、起潮力は3乗に逆比例する。
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砕け波の1つの形式で、浅海域に進入した波が対称性を失い、全面が切り立った壁のようになり、頂部の水が前に飛び出す形で巻くように砕けるものをいう。この場合、波は一度にどっと崩れることになり、碎波帯は狭い。沖での波の波形勾配が小さい程、また海浜の海底勾配が急な程、巻き波となり易い。前面がそれ程切り立たない、崩れ波との中間の形をとる碎波を崩れ巻き波という。
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砕け波の1つの形式で、波の峰の部分が崩れて波の前面に沿って投げ出される形になる。海浜においては、沖波の波形勾配が大きい程、また海底勾配が小さいほどこの形の碎波が起こり易い。崩れ波では波高は急には減じないため、波は崩れながらかなりの距離を進行するので、巻き波の場合に比べ、ずっと広い碎波帯を生じる。深海域でみられる白波も崩れ波の一種である。
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海水が凍結してできた氷をいう。これに対して氷河あるいは陸氷の末端が分離して海に流れだしたものを氷山という。海氷は晶氷から海綿氷または氷殻、板状軟氷、蓮葉氷、一冬氷と成長していく。夏期にも融解せず次の冬にさらに厚みを増したものを二冬氷、三冬以上経過したものを多冬氷という。海水は凍結に際して、ブラインと呼ばれる濃い塩水を、細胞状または毛管状にその組織内に取り込んで成長する。ブラインは次第に海氷の下面から抜け出すが、この濃縮された塩水は高密度の深層水の生成に大きな役割を果たす。
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親潮と共に、亜寒帯循環の西岸境界流を構成する海流で、カムチャッカ半島の東岸沿いに流れる部分をいう。この海流で運ばれた水の一部はクリル(千島)列島の北部でオホーツク海にはいるが、一部はそのままクリル列島に沿って南下し、オホーツク海で変質した水を加えて、親潮となる。このため東カムチャッカ海流域と親潮海域の水塊との間には顕著な差が存在する。
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南太平洋の亜熱帯循環の西岸境界流で、オーストラリア東岸沿いに南下する海流。北太平洋の黒潮に対応する海流であるが、黒潮ほど強くなく、流速はシドニー沖の最も強いところでも1.5m/sを越えない。
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中緯度の海流は、近似的に暖水と冷水の境目をほぼ等温線に沿って流れており、暖流といっても、決して周りより暖かい水の流れではなく、海洋学上あまり使われない。しいて定義すると、大気に大量の熱を与えつつ、それ自体は流下方向に水温を下げていく海流ということになる。ただ、北半球で岸を右手に、岸に沿って流れる海流では、流軸から海岸まで比較的狭い帯状域に暖水が存在することになり、暖流という言葉がぴったりした感を与えるので、対馬海流・宗谷海流・津軽海流の場合には、しばしば対馬暖流というような呼び方が使われることが多い。
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海流は、近似的に暖水と冷水の境目をほぼ等温線に沿って流れており、寒流といっても、決して周りより冷たい水の流れではなく、この言葉は海洋学上あまり使われない。しいて定義すれば、大気から大量の熱を奪いつつ流れる海流のことで、周辺の気候に与える効果から名付けられたもので、地理学的な呼び名である。
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亜寒帯海域で夏期に海洋上層の下部に見られる水温の極小層を中冷層と呼び、そこにある水を中冷水という。亜寒帯海域では一般に塩分が深さと共に増し、特に上層の下に顕著な塩分躍層があって、この塩分勾配により安定成層が形作られている。冬季に生じた低温の表層混合層の水温が塩分躍層上部の水温より低くなる西部亜寒帯域で、夏期に表層が暖められたとき、季節水温躍層の下に冷水が残されて中冷層が形成される。
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太平洋西部亜寒帯域の塩分躍層の下部に見られる水温の極大層をいう。この海域での冬季の激しい海面からの冷却のため、表層混合層の水温が、下層上部の塩分躍層の水温より下がるために形成される。上層は亜寒帯前線で亜熱帯の水(中央水)と区切られているが、下層の水の特性は亜熱帯域と連続的につながっており、中暖層の水(中暖水)の起源は、太平洋東部のアラスカ海流域で亜寒帯に入った亜熱帯系の水に求められる。
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各大洋の中央部、亜熱帯域に見いだされる水塊を言う。北太平洋では北に亜寒帯水と南に赤道水に接している。大洋によって、また南北太平洋ではその西部と東部で、その性質に若干の差があるので、西部北太平洋中央水、北大西洋中央水というように呼ぶ。各中央水の特性は、T-Sダイアグラム上でほぼ一つの直線で表わされる。北太平洋の中央水、特に亜寒帯水の影響を強く受ける東部太平洋中央水は、他の中央水に比べて塩分が少ない。
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表面張力を復元力とする水面を伝わる短波長の波でさざなみとも呼ぶ。重力と表面張力の両方を考慮したときの位相速度は、Tを表面張力の係数、gを重力の加速度、ρを水の密度、λを波長として、
で表わされ、波長が1.72cmで、最小の波速23.2cm/sをとる。波長がこの値より短くなると第一項が無視できて、表面張力が主要な復元力となる。このような波を純粋表面張力波と呼ぶ。
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重力を復元力とする水面を伝わる波をいう。周期が短くなり、0.1秒程度になると表面張力の効果が無視できなくなり、逆に長くなって慣性周期を越すと地球の自転の効果、コリオリの力が無視できなくなる。重力波の性質は、波長と水深の比により深水波・浅水波・中間波に分けられる。有限振幅の非線型波はアーセル数Uにより分類でき、U≫1でストークス波、U≒1でクノイド波・孤立波、U≪1では周期的な波は無く段波(ボアー)だけが波形を変えない波となる。
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浅水を水の壁が進んで行く形の波で、段波とも呼ばれる。ボアは2つの異なった水位を持つ水面をつなぐものであるが、必ず低水位側に伝播する。進行速度は前・後面の深さに対応する長波速度よりも速く、一種の衝撃波である。ボアを挟んで体積・運動量は保存されるが、エネルギーは保存されず、強いボアでは波面に砕波を伴う。弱いボアでは波の背面に幾つかの短波長の波を伴い、そのようなボアをアンド・ラー・ボアと呼ぶ。満ち潮に際して潮汐によって起こされるものをタイダル・ボアと言う。
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潮差の大きな海域に、遠浅で入り口がラッパ状に開いているような湾があると、満ち潮に際して潮汐波の先端が切り立った壁の様になり、ボアとして押し寄せることがある。このように潮汐によって起こされたボアをタイダル・ボアと言う。中国の銭塘江のボア、ブラジルのアマゾン川のボア(ポロロッカと呼ばれる)、英国のセバーン川のボア等が特に有名である。
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波高(振幅の2倍)の波長に対する比で、波の険しさを表す。進行する重力波では波形勾配が1/7を越えないことが示されている(ストークス波)。定立波(standing wave)では、ずっと大きな波形勾配の波が立ち得る。また波長の短い表面張力波の限界の波形勾配は 0.73であり(クラッパー波)、波高は小さくても海面の粗さ(粗度)が大きくなり、風から海への運動量の輸送過程において表面張力波が重要な役割を果たす。
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風波の(有義波の)波速の風速に対する比。発生初期の波の波速が小さく、発達とともに波速が風速に近づいて行くことから、波の発達の度合を表すものとして波齢と呼ぶ。波齢と波形勾配の間に、経験的な相関関係が得られており、この関係を用いて有義波を対象とした初期の波浪予報(SMB法)理論が作られた。
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初めて、第二次大戦の末期に実用化された波浪予報法で、ノルマンディー上陸作戦を成功させた一因とされる。名称は開発者のSverdrup、Munk、Bretschneiderの頭文字を取ったもの。波のエネルギーに対する方程式を、風から受けるエネルギーと、波齢と波形勾配の関係とについての半経験的な関係式を用いて解いて得られたもので、風速・吹送距離・連吹時間の三つの要素から、有義波で代表される波浪の状態を予報するもの。
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Pierson、Neumann、James が導いた波浪の予報法で、その頭文字をとってPNJ法と呼ばれる。吹送距離・連吹時間が十分大きい場合の、与えられた風速に対して十分発達した波のスペクトルを基にし、波は高周波側から発達するとして、吹送距離あるいは連吹時間で決められる臨界周波数より低周波部分のスペクトル成分をゼロとしたスペクトルを持つ波が実現するもの。波のエネルギーの波向に対する分布も考慮されている。
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波を起こしている代表的な風速・吹送距離・連吹時間が想定出来る場合にはSMB法やPNJ法のような簡単な予報方法が用いられる。しかし、風速場の空間的な違いや、その時間変化、さらには複雑な地形条件を考慮に入れ、正確な波浪を予報する場合には、風域内での波の発生・発達、風域外に出たうねりの振舞い、沿岸域での屈折・回折の各段階について、大型計算機を用いた数値シミレーションが行われている。波浪場に働く外力として、風の中の乱れによる項、波により大気中に生ずる変動を通して励起される項、波の成分波間の非線型相互作用による項、碎波を通してのエネルギー損失、特に浅海域での摩擦による減衰等を含ませるが、それぞれの係数や簡略化の方式に従い、種々の予報方式が提唱されている。
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簡単な波浪予報(SMB法やPNJ法)に用いられるもので、ほぼ一定の風速・風向を持った風の吹く風域の長さを言う。予報する地点の風上側が海岸線で限られていれば、そこまでの距離が吹送距離となる。連吹時間が十分大きくても、波は風域の風上側の端から出発してその地点に到るまでの時間、すなわち吹送距離を群速度で割った時間しか風の影響を受けないことになり、吹送距離に応じた限度以上には成長できない。
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簡単な波浪予報(SMB法やPNJ法)に用いられるもので、ほぼ一定の風速・風向を持った風が吹き続いた時間を言う。吹送時間と呼ぶこともある。風速・吹送距離とならんで風浪の大きさを決める要因である。
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十分広い海域を、十分長い時間、一定の風速・風向を持った風が吹き続けたとき、そこに起こされる風浪をいう。十分発達した波ともいう。完全発達波のエネルギースペクトルは、最初 Neumannによって1954に導かれたが、その後 PiersonとMoskowitz が求めた
(ただし、α=8.10x10-3、β=0.74は定数、gは重力の加速度、σは角周波数、σ0=g/Uで、Uは風速)の形のものが国際的に最も広く用いられている。
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進行方向の異なる波がぶつかったときに出来る、峯の尖った波をいう。進行する重力波の頂は120度より尖らず、それ以上になると砕ける。しかし定常波(standing wave)の場合には頂角は90度まで尖り得るため、重複波では波形勾配の大きな波が起こり得る。風系の複雑な台風の中などでは、規模の大きな典型的な三角波が立ち、非常に危険である。
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南極大陸を環状に取り巻く海、南極大陸から南緯40度ないしは亜熱帯前線までを言う。南極環海あるいは南極海・南氷洋とも呼ばれる。南大洋は南極前線によって、それより南極大陸よりの南極圏と、北側の亜南極圏に分けられる。南氷洋・南極海という呼び名は、南極圏の部分を指すことが多い。南大洋はその中で東西に地球を巡り得る唯一の大洋であり、太平洋・大西洋・インド洋を結び付けている海であることから、また冬季における高密度の深層水の生成域として海洋学上重要である。
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台風や強い暴風域で起こされている風波は幅の広いスペクトルを持つが、20〜30秒という大きな周期を持つ波は伝播速度が非常に速く、遠くの海岸に通常のもっと短い周期のうねりが到着するよりもずっと早く到着する。このような波は波高が小さく、精密な測定を通して初めて検出し得るようなものであるが、暴風域の位置の推定に使える。このような波を前駆波という。
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氷河や陸氷が海に押し出され、その先端が分離して形成される巨大な氷塊を氷山という。南極海の氷山は主として平坦な棚氷から分離したもので、卓状型の巨大なものが多く、長さが100kmを越し、幅も数100mに達するものがある。北極域の氷山のほとんどは、氷河として運ばれてきた氷河氷から分離したもので、ピラミッド型のものが多い。北極海にも卓状型の氷山があり、特に面積が数百平方kmに達するような巨大なものは氷島と呼ばれる。
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真水と異なり、海水が最大密度になる温度はその結氷温度より低いため、海氷が生成するには海底または密度躍層までの表面混合層全体が結氷温度に下がるまで凍らない。それ以上に冷やされると、混合層の上部の海水中に数mmの針状または板状の氷片を生じる。これを晶氷という。晶氷の密度は海水の密度より小さいため、海面に浮上して集まって海綿状の氷を作る。さらに冷却が進むと海綿氷は氷殻・板状軟氷・蓮葉氷に成長していく。
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海氷の成長の初期の一段階。晶氷の集まった氷泥、あるいは結氷温度に近い海面に降った雪からなる雪泥の氷晶が氷着し合って作られる直径数cmの白っぽい海綿状の塊を海綿氷と呼ぶ。スポンジ氷と呼ぶこともある。さらに冷却が続けば、海綿氷や氷殻がくっつき合い、厚さを増して板状軟氷が形成される。
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海氷の生成の初期段階で、表層混合層に析出した晶氷は浮上して海綿付近に集まってグリース状の晶氷群を作る。このような晶氷の集まりを氷泥という。氷泥ができると、海面は鉛色になり、ゆるやかなうねりを除き波長の短い波は消える。冷却が進むと、氷泥は海綿氷、板状軟氷へと成長していく。
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結氷温度近くまで冷却された海に雪が降ると、どろどろしたかゆ状の氷晶の集合体を作る。これを雪泥という。雪泥は、晶氷の集まった氷泥とともに、さらに冷却が進むと海綿氷、板状軟氷へと成長していく。
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氷泥や雪泥のできた海面が、静穏な状態で急激に冷やされると、厚さが5cm以下の海綿氷よりは硬いガラス状の氷板を作る。これを氷殻という。氷殻はもろく、風やうねりで容易に壊され、よく方形の氷片となる。さらに冷却が続けば、海綿氷や氷殻がくっつき合い、厚さを増して板状軟氷が形成される。
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薄い板状軟氷の段階にある海氷は壊れ易く、うねり等で壊されたり、風によって重なり合ったりする。氷板同士が、組み合わされて筏(いかだ)状になったものをいかだ氷という。
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海綿氷や氷殻は、冷却が進むとくっつき合って板状軟氷へと成長する。板状軟氷は厚さによって、10〜15cmの薄い板状軟氷(grey ice)と、15〜30cmの厚い板状軟氷(grey-white ice)に分けられる。薄い板状軟氷は弱く、氷上の歩行は危険である。この時期にうねりがあると、氷板はうねりの波長の半分程の大きさに分割され、回転しながらぶつかり合ってはす葉氷を作る。厚い板状軟氷になるとその上を歩行することが出来る。この段階になると砕氷船以外の船舶の航行は不能になる。
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海氷の初期段階の薄い板状軟氷はもろく、うねりにがあると波長の半分程の大きさに分割される。氷板は、回転しながらぶつかり合ってその縁がまくれ上がって、直径が0.3〜3mのはす(蓮)の葉のような形になる。これをはす葉氷という。
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海上を漂流している海氷を流氷という。パックアイスとも呼ぶ。これに対して、海岸や氷河壁等に定着している海氷を定着氷という。流氷はその塊の大きさにより板氷、小・中・大・巨氷盤に分類され、視野いっぱいに広がっている流氷を流氷野という。
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海氷が海岸や氷河壁等に定着して、生成域を動かないでいるものを定着氷という。これに対して、海上を漂流している海氷を流氷という。
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流氷の個々の巨大な氷塊をを氷盤という。氷盤はその大きさによって、径が10m〜200mのものを小氷盤(small ice floe)、200m〜1kmのものを中氷盤(medium ice floe)、1〜10kmのものを大氷盤(big ice floe)、それ以上のものを巨氷盤(vast ice floe)と区別される。小氷盤よりも小さい氷塊は、板氷(ice cake)と呼ばれる。
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流氷を構成する氷塊の中で径が、10mを越すようなものは氷盤と呼ばれるが、それより小さい氷塊を板氷という。
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流氷が視界いっぱいに広がっている状態を流氷野という。氷量が10/10の密接流氷の場合でも、風や海流によって氷野は絶えず移動し、変形する。氷野を構成する氷盤同士が押し合って表面に氷塊が重なり合った起伏が生じているのが通常である。割合平坦な氷野の表面に氷塊が積み重なったものを氷丘と呼び、それがうね状に連なったものを氷丘脈とよぶ。
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北極海にみられる巨大な卓状の氷山で、海面上の高さが数m、厚さが数十mを越し、面積も1,000m2 から数百km2にも達するものを氷島という。主としてエルズネア島で作られると考えられている。大型の航空機の発着に耐え得るもので、IGY観測等において北極海の観測・研究基地として利用された。
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海氷の量を表す指標で、考えている海域の中で海氷の占めている面積の割合をいう。海氷が認められない場合を0または0/10とし、隙間なく海氷に覆われている場合を10または10/10として表す。
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流氷野の中に開けた広い海水面を氷湖という。南極のウエッデル海東部に、氷湖の現れ易い場所があり冬季を通して海水面が維持される年もあり、ウエッデル・ポリニアと呼ばれる。このように長期間氷湖が維持されるのは、湧昇によって比較的暖かい水が下層から供給されたり、その海域の水の水塊が凍り難い特性を持つためと考えられる。また冬季の卓越風が沖に向かう場所では、海氷が沖に押し出され沿岸または定着氷との間に開水面が作られる。これを沿岸氷湖あるいは分離帯水路と呼ぶ。
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海水が凍るとき真水からなる氷晶ができて、まわりの海水の塩分が高められる。氷晶が浮上して海面に氷板ができたあと、その底面から下方にくさび状の結晶が延びていくが、濃縮された塩水が鉛直に延びた細管状のセルに取り込められる。この濃縮塩水をブラインと呼ぶ。このために海氷にはかなりの塩分を含む。ブラインは次第に下方に移動していき、やがて海氷の下面から排出される。そのため古い海氷ほど塩分量が少なくなる。排出されたブラインは密度が高く、深層水の生成機構において重要な働きをする。
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冬季の卓越風が沖に向かう場所では、海氷が沖に押し出され、流氷野と沿岸または定着氷との間にしばしば開水面が作られる。これを分離帯水路と呼ぶ。沿岸氷湖ともいう。昭和基地の近くに現れるものは俗に大利根水道と呼ばれている。このような開水面が卓越風で維持されると冬季を通して活発な海氷の生成が行われ、多量のブラインが供給されて深層水生成に大きな役割を果たす。
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板状軟氷がその冬の間に成長し、15cm-3m程度の厚さにに成長したものを一冬氷という。一年氷とも呼ばれる。オホーツク海やベーリング海のような低緯度の海でみられる海氷は一冬氷であり、夏期には全て溶融する。これに対して、極地方で夏期にも融けず年を越して次の冬にさらに成長したものを二冬氷、一般に複数の冬にわたって成長したものを多冬(極)氷または多年(極)氷という。
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オホーツク海のような低緯度の海氷は、夏期に融けてしまうが、極地方の海では融けずに次の冬にさらに成長するものがある。これを二冬極氷または二冬氷という。二冬極氷は通常2m以上の厚さに成長する。三冬以上経過したものを多冬極氷、多冬氷または多年氷という。
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海氷の内、複数の冬を経過して成長してきたものをいう。二冬目のものは、二冬極氷と呼ばれる。南極域のものについては arctic ice という名称は不適であるので、共通した呼び名として multi-yearice 多年氷が通常用いられる。多冬極氷は一般に厚く、2.5m 以上の厚さをもつのが普通である。
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千島列島に沿って南西に流れ、北海道・三陸沖にいたる海流。北太平洋亜寒帯循環の西岸沿いに南下する部分を構成する。地理学等で千島海流と呼ぶことがあるが、海洋学では用いない。親潮は流れとしては弱く、流速値は高々50cm/s程度である。しかし、流れの層は厚く、流量としては黒潮に匹敵すると考えられている。親潮は本来海流を指す言葉であるが、その流域にある水塊・親潮水を指すことも多い。
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北海道・三陸の東方海域にある低温・低塩分で、溶存酸素・栄養塩に富んだ水を指す。親潮水域、黒潮水との混合水域は好漁場であり、親潮と言う名は魚類を育てる親にあたる潮の意に由来する。親潮の源流にあたる東カムチャッカ海流の運ぶ亜寒帯水は貧酸素である。亜寒帯循環の流れは一部がオホーツク海にはいるが、オホーツク海内部あるいは千島列島の海峡部で変質・混合したオホーツク水と直接千島列島沿いに南下した亜寒帯水との混合したものが親潮水である。
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二つの水塊にはさまれた海域に、両者の混合した水の存在する場所。特に、本州東方海域では親潮水の南限の親潮前線と黒潮水の北限の黒潮前線の間に広い混合水域が存在しており、この海域を指して用いられることがある。この海域には両前線の蛇行や、多数の暖水塊・冷水塊の存在のため、冷水と暖水が複雑に入り交じっている。そのためこの海域を混乱水域と呼ぶ研究者もある。北太平洋全体を議論する際には遷移海域という言葉を用いることが多い。
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北海道東方にある低温・低塩分の親潮水の南限に形成される前線。本州東方では、この前線と黒潮水の北限に形成される黒潮前線との間に広い混合水域がある。この前線を境にして水温・塩分値が急変するが、両者の海水密度に与える影響は打ち消し合って、密度勾配は明確ではない。そのため黒潮前線とは異なり、前線域での流れのシアーは小さい。
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本州東方の混合水域に、親潮系の水が舌状に大きく南方に張り出して来ることが多い。このような舌状の冷水部を、沿岸側から数えて、親潮の第1分枝、第2分枝と呼ぶ。第1分枝は、三陸沿岸沿いの津軽海流の沖側を南に張り出し、時には常磐沖から房総沖まで達する。これらの分枝内の水は、親潮水の性質をかなり保持しているが、周辺の水との混合でかなりの変質を受けている。親潮分枝の消長は漁業や沿岸の気候に大きな影響を与える。
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磯に生えている海藻が、かなりの範囲で枯死する現象をいう。大出水などのために海水の塩分が急激に低下したとき、あるいは逆に沖合いの高塩分水が急激に沿岸に侵入してきた場合等に起こる。他に、人為的な土砂の流失や生物学的な理由による磯焼けもある。
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北太平洋の亜熱帯循環の西縁を構成する海流で、フィリッピン東岸で北赤道海流が分岐して北上し、台湾東岸を通って一旦東シナ海に入り、トカラ海峡から再び太平洋に出て、日本南岸に沿って流れ、房総沖を過ぎたあたりから東に転じ、黒潮続流となる。黒潮は世界屈指の大海流で、その流速は最大200ないし250cm/sに達し、流量は毎秒5,000万トンに達する。本州南岸での黒潮には二つの安定した流路をとり得て、まっすぐ沿岸沿いに進む場合と、遠州灘沖の大冷水塊を迂回して大蛇行して流れる場合がある。黒潮の名は黒潮水が透明度が高く、濃い藍色を呈することからきている。地理学等で日本海流と呼ぶことがあるが、海洋学では使用しない。
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日本沿岸に沿って北東に流れる黒潮は、銚子沖を過ぎるあたりから陸岸を離れ東方に向かうが、東経160度付近までは狭い強流帯を保持しており、この東流部分を黒潮続流と呼ぶ。その先では流れの幅が広くなり、強流帯が不明確になって北太平洋海流となる。陸岸を離れた直後の黒潮続流は大きく蛇行し、しばしば蛇行が壊れて、その南北にそれぞれ冷水塊、暖水塊を放出する。続流は、北大西洋の狭い意味の湾流に対応する。
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日本の沿岸に沿って東ないし北東に流れる黒潮の沖側に、ちょうど逆の西ないし南西に向かう幅の広い弱い流れがあり、黒潮反流と呼ばれている。海洋中にある種々の中規模の渦のため、海水は常に一方向に流れるとは限らず、連続した流れというよりは、平均場に現れる海流である。また、黒潮の沖側の縁にある時計周りの渦の南西に向かう部分も黒潮反流の一部を構成する。
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黒潮と黒潮続流を総括して呼ぶとき、黒潮系という。大西洋でフロリダ海流と湾流の総称として、湾流系(Gulf Stream System)と呼ぶのに対応している。ただし、誤解を招かない場合には、系を省略して黒潮あるいは湾流という言葉を広義に解釈して代用されることも多いようである。
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黒潮・黒潮続流の流域の左側の境界は明確であり、黒潮系水と沿岸系の水・混合域の水との間に顕著な黒潮前線を形作る。特に黒潮続流の北縁の黒潮前線は、黒潮系水・亜熱帯系の水の北限を与えるが、この言葉はこの部分の前線を指す場合が多い。黒潮前線を境に水温・塩分が急変するが、北方の親潮前線と異なり強い密度勾配を伴っており、そこでの流れのシアーも大きい。本州東方では、黒潮前線と親潮前線の間に広い混合水域が存在する。
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黒潮の流域内にある水を黒潮水と呼ぶ。本州東方海域で、親潮水・混合水(混合域の水)との対比で用いられることが多く、黒潮続流域の黒潮前線の南側にある水を指す。高温・高塩分がその特徴である。
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世界の海流系は、季節によらずほぼ一定の型を示すが、インド洋だけは例外である。インド洋上の風系はモンスーンのため夏期に南西の季節風が、冬期に北東季節風が卓越する。これに対応してインド洋の表層海流も著しい季節変動を示し、アラビア海・ベンガル湾には、夏期に時計周りの、冬期に反時計周りの循環が生じる。
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船底から音波を出し、音が海底から反射して帰って来るまでの時間を測ることによって、水深を求める装置。到着音を自動的に記録し、船の航路にそった海底地形断面が連続的に記録される。
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海底に設置した装置から音波を出し、海面から反射してきた音波を捉えて、その往復時間を連続的に測定して海洋構造の時間的変化を求める装置。海洋中の音波の速度は温度等によって決まるから、主温度躍層の深度変化等をモニターすることができる。海底に音響測深機を置いた形なので、この名が付けられている。
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海洋中の流れが、ほぼ等密度面に沿うことを利用して、水温・塩分等の観測値から海流場を推算する方法。地衡流の関係から流速の相対的な鉛直分布が求められるが、絶対値は求められない。そこで水平的に閉じた、例えば矩形の、測線に沿って水温・塩分等の鉛直断面分布を測定し、等密度面で層状に区切られた幾つかのボックスについて、側面を通過する水の体積・熱量・塩分量等の総和がゼロになるように絶対流速を決める方法。
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国際測地学・地球物理学連合(IUGG)傘下の学術的機関で、海洋とその境界領域に関する広義の海洋物理学的研究を推進し、国際協力による海洋研究を促進・調整することを目的としている。4年毎のIUGG総会に際して定期総会を開くが、各総会の間にも1〜2回の学術総会を開催している。日本での対応体は、日本学術会議に設けられた海洋物理学研究連絡委員会である。
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国際学術連合会議(International Council for Science: ICSU)に含まれる純学術的非政府間機関で、測地学・地球物理学にかんする研究を推進し、それに関する国際協力研究の促進・調整を図ることを目的とする。IUGGの傘下には、測地・地震・火山・地球電磁気・気象・海洋物理・陸水に関する7つの協会がある。IUGG総会は4年に1度開催される。日本の対応体は日本学術会議の地球物理学研究連絡委員会である。
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植物プランクトンや海藻の栄養となる海水中に溶けた、けい酸塩・りん酸塩・しょう酸塩・亜しょう酸塩等を総称して栄養塩または栄養塩類という。海水は栄養塩の希薄溶液であり、通常その量の不足が植物プランクトン等の増殖の制約要因となっている。一般に表層では、植物プランクトンに消費されて栄養塩が少ない。湧昇域等、栄養塩に富んだ下層の水が表層にもたらされる海域が、好漁場となるのはそのためである。
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電磁海流計とも呼ぶ。60m離れた二つの電極を持つ導線を、航行中の船の後方にくりだす。船の進行方向に直角な海流成分があれば、それによって地球磁場(鉛直成分)をきって導線が流され、電極間に電位差を生ずる。表層にも海流によって同じ電位差を生じているが、海が十分深く下層に流れがなければ、1つの閉回路ができ、電極間の電位差の測定から流速成分を求め得る。船をコの字形に操船することにより速度ベクトルを得る。
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国際学術連合会議(International Council for Science: ICSU)に含まれる純学術的非政府機関である。同じくICSUに含まれるIUGGの傘下のIAPSOが、海洋物理科学のみを対象としているのに対し、SCORは、生物学・水産学・工学等をも含む海洋に関する全ての研究の推進を図る国際機関である。日本の対応体は、日本学術会議に置かれた海洋科学研究委員会である。
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ユネスコに設置されている海洋学に関する政府間機関であり、海洋学全般の調査・研究の発展に必要とされる諸種の政府間機関を組織し、政府間の協力を促進し、調整を図る機関である。気象・大気物理学に対する世界気象機構(WMO)に対応する。
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南極大陸の南極半島とクイーンモードランドに挟まれた大湾。海洋の深層水・底層水の生成場所は、北大西洋北部のグリーンランド近海と、このウェッデル海を中心とした南極大陸周辺に限られている。
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太平洋赤道域の西部の海面水温は、ペルー沖の湧昇域につながる東部の海面水温にくらべ3〜6℃高い。そのため西部で上昇気流が、東部で下降気流が起こる。これにともなって大気上層に西風が、下層に東風が吹く。この循環をウオーカー循環という。エルニーニョに伴って海面水温の分布に異常をきたすと、循環の位置や強さが変わり、東西の気圧差が変動することになり、南方振動と呼ばれる現象が生じる。
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陸からの淡水と海水とが混合した水の存在している半閉鎖水域をエスチャリという。河口域を指すことが多いが、より広く内湾を指す場合もある。
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日本南岸の黒潮は、九州南端沖からまっすぐ沿岸沿いに流れる場合と、紀州沖ないし遠州灘沖で南東に転じ、遠州灘沖に発生した大冷水塊の沖合いを迂回して伊豆諸島付近で再び接岸する場合がある。この蛇行現象を黒潮大蛇行と呼ぶ。大蛇行は黒潮特有の現象で、湾流等他の西岸境界流に見られない。この蛇行現象は異常現象と考えられたことがあるが、この海域で黒潮のとり得る二つの安定流路の一つであることが示されている。
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遠州灘沖に数百kmの大きさを持つ冷水域が現れることがあり、大冷水塊と呼ばれる。この冷水域は一旦現れると10年程度持続することが多く、その時黒潮は冷水域を迂回する大蛇行流路をとる。大冷水塊内の海水は黒潮水の水塊特性を示し、大蛇行の発生にともなって黒潮域の下層の水が湧昇してきたものと考えられる。
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流体の速度ベクトルの回転を渦度と呼ぶ。すなわち、速度の(x, y, z)成分をそれぞれ(u, v, w)とした時、
がそれぞれ渦度の(x, y, z)成分となる。地球上の大規模流体運動では、水平速度成分が卓越するため、渦度の鉛直成分のみを論じることが多い。回転座標系に相対的に見た渦度を相対渦度と云い、これに座標の回転成分(地球上ではコリオリの因数)を加えたものを絶対渦度という。
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気象庁が発刊しているもので、諸種の海洋観測の実施方法や手順、実施上の注意、観測資料の整理法等をまとめた海洋観測マニュアル。1970年に大きく改訂されたが、その後も海洋学の発展、観測法・観測機器の進歩と共に追録・改訂が行われてきている。
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魚雷型の測器で、停止または低速で航行中の船からワイヤーで下ろされ、水温の鉛直分布を測定する。原理は水圧(水深)に応じて移動する記録スライド上に、水温に応じて直角方向に動くペンで水温の変化を記録するもの。最近では、高速航行中の船舶から観測し得るXBTが開発され、その使用頻度が増してきたため、それと区別するために、MBT (Mechanical Bathythermograph)と呼ぶことが多い。
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投げ捨て式の水温の鉛直分布測定装置。弾体型のプローブの先にサーミスターをつけ、信号を細いエナメル線で船上に送り記録する。落下にともないプローブ側の糸巻の導線が、船の動きにともないランチャー側の糸巻の導線が解かれて、中間の導線は静止の状態にあり細くても測定中は切れない。プローブはほぼ等速で落下するので、信号の時間変化がそのまま水温の鉛直分布を示す。
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北大西洋の亜熱帯循環の西岸境界流がハッテラス岬を過ぎ、岸を離れて東方に流れる太平洋の黒潮続流にあたる部分を指す。黒潮にあたる岸沿いの部分をフロリダ海流と呼ぶが、両者を併せて(広義の)湾流あるいは湾流系と呼ぶこともある。湾という言葉は、かって湾流の成因をメキシコ湾に求めたことからきているが、現在では慣習的に用いられており、地理学等で時に用いられているメキシコ湾流という訳語は海洋学では用いない。
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北大西洋の亜熱帯循環の南側を構成する北赤道海流の一部は西インド諸島の北東を流れるアンチール海流となり、一部は一旦メキシコ湾に入り、フロリダ海峡をへて再び大西洋に出て、アンチール海流の水を加えて、岸沿いに北上する。この流れは、ハッテラス岬を過ぎたあたりから岸を離れて東流する。この西岸境界流部分を総称して湾流系というが、太平洋の黒潮に対応するアメリカ東岸沿いに北上する部分をフロリダ海流と呼ぶ。
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狭義の湾流は、北大西洋の西岸境界流がハッテラス岬を過ぎたあたりから岸を離れた後、東流する部分の流れを指す。しかし、この狭義の湾流とアメリカ東岸沿いに北上するフロリダ海流を総称して湾流という言葉を使うことがある。この広義の湾流を狭義の湾流と区別して明確に示すのに、湾流系という言葉がしばしば用いられる。
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みかけの酸素消費量。海洋中での酸素の消費量を表す尺度で、その海水の水温と塩分から決まる飽和量と実測値の差で定義される。表面海水はほぼ飽和状態にあり、無光層に潜り込んだ後は、溶存酸素は有機物の分解に使われて減少するから、酸素の消費量はその海水が潜り込んでからの時間スケールを与える。「みかけ」と言うのは、飽和量が水温・塩分の一次関数で無いので、混合過程を経た海水では本当の飽和量が分からないことによる。
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地震による海底の隆起・陥没によっておこされた波を津波という。急速な海底面の変動は、海表面にその形状と同じ形の変位を起こし、これが長波として周囲に広がる。浅海域に侵入するにしたがい波高を増すが、港湾での共振、V字湾等での地形的な増幅作用により沿岸域に大きな被害をもたらす。海底あるいは沿岸域での火山爆発や地滑りによって起こる津波もある。高潮を風津波と呼ぶことがあり、それと区別するときは地震津波と呼ぶ。
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津波の規模は、震源の深さが80kmより浅い時は、その深さによらず、地震のマグニチュードとの間に良い相関を示す。しかし、例外的にマグニチュードが比較的小さい地震が大きな津波を起こす地震があり、津波地震と呼ばれる。明治三陸津波がその典型的な例である。津波地震では、断層の立ち上がり時間が長く、津波は有効に起こすが、相対的に地震波動として放出されるエネルギーが小さいことによる。ぬるぬる地震とも呼ばれる。
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その地点で地震波動を感じないような遠方の地震による津波。1960年5月24日に日本を襲ったチリ津波がその典型的な例である。これはチリ沖の地震によって起こされたもので、わが国の三陸沿岸に大きな被害を与えた。陸棚上で発生した津波の外洋へのエネルギーは、主として海岸線に垂直に放射される。チリの海岸線に垂直な線がわが国の海岸に直交していることが、チリ沖で発生した津波がわが国にも被害を与える一因である。
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1960年5月24日わが国を襲った近代以後最大の遠地津波。チリ沖で起きたマグニチュード8.5の地震によって起きた津波はチリ沿岸で20mを超し、23〜24時間後わが国を襲い、数mの高さに達し、三陸地方を中心に全国で死者122、行方不明20の被害をもたらした。津波の周期は長く40分程度であった。この津波はハワイ島ヒロ等にも大きな被害を与え、これを契機として国際的な太平洋津波警報組織が確立された。
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波動の峯あるいは谷といった特定の位相が伝播する速度。通常波の速度といえば、この位相速度を指すが、波のエネルギーは群速度で伝わる。位相速度と群速度が等しい波を非分散性の波、一致しない波を分散性の波という。
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波が波群を構成している場合に、その波群の進む速度を群速度と云う。振動数(周波数)の波数による微分で与えられ、波のエネルギーの伝播速度を与える。一般には個々の波の速度(位相速度)と一致しないが、一致する波を非分散性の波、一致しない波を分散性の波という。分散性の波では、波数あるいは振動数によって、位相速度が異なるため波形は保存されない。
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三陸海岸は、世界で一番津波の被災記録の多い地域で、有史以来17回の被害をともなう津波の襲来を受けている。これは沖合いに活発な地震帯を持つことと、リアス式海岸で多くのV字湾を持つことによる。特に、1896年の明治三陸津波、1933年の昭和三陸津波は、近年わが国で起きた最大の津波であり、通常、三陸津波という言葉でこの二つの津波を指す。
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1896年(明治29年)6月15日、三陸沖のマグニチュード7.6の地震によって起こされた津波で、三陸町綾里で38.2mの遡上高を記録した。宮城県から北海道まで大きな被害を受け、文献により多少の差があるが、死者数は21,894人に達したとされる。この地震は典型的な津波地震(ぬるぬる地震)で、地震のマグニチュードが比較的小さいが、津波の規模は、明治以後わが国を襲った津波の中で最大である。
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1933年(昭和8年)3月3日、三陸沖のマグニチュード8.3の地震で起こされた津波で、明治三陸津波につぐ大津波。遡上高は三陸町綾里で23.0〜28.7mに達し、死者・行方不明者は岩手県を中心に3,064人に及んだ。津波による家屋被害数は明治三陸津波とほぼ同じであるが、死者数が1/7と少なかったのは、遡上高・遡上速度がやや小さかったことと、前回の津波の記憶から適切な待避行動を取れたからとされる。
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洋上を吹く風の応力によって直接起こされる流れを、初めて理論的に求めたエクマン(V. W. Ekman)の名をとってエクマンの吹送流という。地球自転のため、表面流の方向は風向に対して45度右にずれる(北半球、南半球では逆)。深さと共に、流れは大きさを減じながら右へ右へとずれていく(エクマン螺旋)。この流れによる正味の輸送(エクマン輸送)は風向に対して直角右方向である。海流の形成にかかわるのは、吹送流自体よりは表層におけるその発散・収束である。
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エクマンの吹送流は、北(南)半球で、表面で風向に対して、45度右(左)にずれ、深さと共に大きさを減じながら、さらに右へ右へ(左へ左へ)とずれていく。この速度ベクトルの先端をつないで得られる螺旋をエクマンの螺旋という。地上付近の風あるいは海底近くの流れが摩擦層内で描く速度の鉛直分布の示す螺旋も、同様の理論から導かれ、エクマンの螺旋と呼ばれる。
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エクマンの吹送流が及ぶ深さ。流れの大きさが表面の exp(-π) (=1/23)になり、方向がちょうど反対を向く深さで代表させ、それを摩擦深度という。コリオリの因数をf、水の密度をρ、鉛直渦動粘性係数をAとして
で与えられる。Aを100cgsに取っても、緯度30度で摩擦深度は56mにしかならず、数百mの厚さを持つ通常の海流を直接の吹送流では説明することはできない。
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海面に働く風の応力の及ぶ範囲(表面から摩擦深度まで)をエクマン層またはエクマン境界層という。エクマンの吹送流が有意の大きさを保っている層である。その厚さは、渦動粘性係数の取り方によるが、高々数十mで、風成海流を考えるとき、この層内のエクマン輸送の収束・発散が、海洋内部の上面の境界条件として、そこに鉛直流の分布を与えるとして扱われる。海底から、摩擦により海底境界の影響が及ぶ範囲を指すこともある。
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エクマンの吹送流によって生じる正味の水の輸送をいう。水は、北(南)半球では風向に対して90度右向き(左向き)に運ばれ、その大きさは、τを水面に働く風の応力、fをコリオリの因数として、τ/fであたえられる。エクマン輸送の収束・発散が、海洋上面での鉛直流の分布を与え、これを境界条件として、風成海流を計算するのが普通である。
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鉛直気柱あるいは鉛直水柱を考えたとき、その絶対渦度と水平断面積の積を渦位あるいはポテンシャル渦度という。絶対渦度と静力学的安定度の積として定義しても、気柱の上端と下端の気圧差で絶対渦度を割った値としても同じ。海洋では絶対渦度を水柱の高さ(水深)で割ったものを渦位と考えることが多い。摩擦が無視される順圧流体では、渦位を保存するように流体の運動が起こる。
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全世界海洋情報サービスシステム。世界気象機関(WMO)とユネスコの政府間海洋学委員会(IOC)が合同で推進している国際プログラムで、物理的要素を中心とした海洋環境情報のリアルタイムベースの収集・処理・提供を目的とする。IGOSS観測システム、IGOSS通信処理、IGOSSデータ処理サービスシステムの三つの要素から構成されている。気象庁に、太平洋域を対象としたIGOSS特別海洋中枢が置かれている。
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大気・海洋の運動で、傾圧構造、したがって渦度の水平成分と摩擦が無視できるとき、流れは渦位を一定に保つように起こる。これを渦位の保存則という。高さhの鉛直流体柱の持つ相対渦度をζ、コリオリの因数をfとすると、渦位は(ζ+f)/hで与えられるが、相対渦度が小さければ、f/hが一定な線に沿って運動が起こる。hが一定なら東西流が卓越し(fは緯度の関数)、fが変化が小さければ、海流は等深線に沿う傾向を持つ。
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運動方程式の回転をとって得られる、渦度に対する方程式。絶対渦度をζ、速度ベクトルをu、外力をF、比容(密度の逆数)をα、圧力をpとして、
で表される。左辺第一、二項は絶対過度の時間変化と移流、第三項、第四項は渦柱の伸び縮みによる変化と渦柱の傾きが変わることによる変化を、右辺は等密度面と等圧面が平行でないことからくる傾圧項である。
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大気・海水の運動には、大小さまざまな渦が含まれる。しかし、これらの全てを同時に扱うことは不可能であり、対象とする現象よりも小さいスケールの現象からの運動量輸送への寄与を、分子粘性と同様の表現形式で扱うことが多く、これを渦動粘性または渦粘性という。この場合の粘性係数(渦動粘性係数)は、分子粘性係数に比べて桁違いに大きい。また、一般に水平方向の粘性係数は、鉛直方向の粘性係数より格段に大きい。
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大気・海洋中での拡散現象には、さまざまなスケールの渦による乱流拡散が支配的である。対象とする現象よりも小さいスケールの渦による拡散現象を、分子拡散と同様の形式で表現したものが渦動拡散または渦拡散である。それによる拡散係数(渦動拡散係数)は、分子拡散係数に比べ桁違いに大きく、対象とするスケールとともに大きくなる。また、水平運動が卓越する地球上の運動では、渦動拡散係数は鉛直方向に比べ、水平方向が大きい。
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潮汐による海面の昇降で、海面の高さが極大になった状態を高潮と呼ぶ。満潮ともいう。これに対して海面の高さが極小となった状態を低潮または干潮という。
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潮汐による海面の昇降で、海面の高さが極小になった状態を低潮と呼ぶ。干潮ともいう。これに対して海面の高さが極大となった状態を高潮または満潮という。
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潮汐にもとずく海面変動で、干潮から満潮までの間で海面が上昇しつつあるときを上げ潮または差し潮という。これに対して、満潮から干潮までの間で、海面が下降しつつあるときを下げ潮または引き潮という。
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潮汐にもとずく海面変動で、満潮から干潮までの間で海面が下降しつつあるときを下げ潮または引き潮という。これに対して、干潮から満潮までの間で、海面が上昇しつつあるときを上げ潮または差し潮という。
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月が子午線上を通過してから高潮(満潮)になるまでの時間をいう。場所により、また月と太陽との相対位置・月齢によっても変化する。ある場所における高潮間隔の長年にわたる平均値を平均高潮間隔と呼ぶが、これは一つの場所ではほぼ一定の値を示し、その場所の潮汐特性を示す重要な定数である。
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新月または満月の時、月・太陽・地球が一線上に並び、月と太陽の起潮力がたがいに強めあって潮差が大きくなる。このときの潮汐を大潮というが、海湾の振動特性によって、実際の大潮は新月・満月より1〜2日遅れることが多い。大潮時の潮差はその時の地球と月との距離によって若干変化する。大潮時の潮差の長年の平均値、高潮間隔の長年の平均値を、それぞれ大潮差(だいちょうさ)、大潮高潮(おおしおこうちょう)と呼ぶ。
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大潮の時の高潮間隔の長年にわたる平均値を大潮高潮という。潮候率あるいは潮候時とも呼ぶ。平均高潮間隔よりも20分ないし40分長いのが通常である。
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大潮時の潮差の長年の平均値を、その場所の大潮差と呼ぶ。
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上弦あるいは下弦の時、地球から見て月と太陽の方向がたがいに直角となるから、月と太陽の起潮力が打ち消しあって潮差が小さくなる。このときの潮汐を小潮という。潮差はその時の地球と月との距離によって若干変化するが、小潮時の潮差の長年の平均値は場所によってほぼ一定であり、それを小潮差(しょうちょうさ)と呼ぶ。
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各分潮の中で、主太陰半日周潮が最も卓越しているから、通常潮汐によって一日に二回干満が起こる。しかし各分潮との位相関係に応じて、二回の干満の潮位は著しく異なることがある。これを日潮不等と呼ぶ。一日の内、高い方の満潮を高高潮、低い方の満潮を低高潮、高い方の干潮を高低潮、低い方の干潮を低低潮という。
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月が赤道上から最も遠ざかったとき、著しい日潮不等(一日二回の満潮あるいは干潮の水位の違い)が起こるが、この時の潮汐を回帰潮と呼ぶ。
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月が、ほぼ赤道上にあるとき、日潮不等(一日二回の満潮あるいは干潮の水位の違い)が最も小さくなる。この時の潮汐を分点潮と呼ぶ。
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太陽の周りの地球の軌道、地球の周りの月の軌道は完全な円ではないから、これらの天体による起潮力ポテンシャルは多くの周期成分を持つ。これを決まった周期の正弦関数の和であらわし、そのそれぞれに対応した潮位の変動成分を分潮と呼ぶ。また、この他潮汐が浅海部に侵入した際の波形変化等の非線形効果で生じる成分や、気温・水温の変化等の気象・海洋現象による水位変化の内、規則的な成分も分潮として扱われる。
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潮汐は月・太陽の起潮力によって起こされる規則的な海面水位変化であるが、気温・水温の変化、気圧の変化等によっても水位が変化する。この気象的な原因で起こる水位変化の中で、一定の周期をもって規則的に起こるものは、通常、潮汐の分潮の中に含めて扱い、このような成分を気象潮と呼んでいる。24時間周期の気象日周潮、1年の周期の太陽年周潮がその代表的なものである。
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潮汐は主として月・太陽の起潮力によって起こされる規則的な海面水位変化であるが、気温・水温の変化、気圧の変化等によっても水位が変化し、その中で一定の周期をもって規則的に起こるものは、潮汐の分潮の中に含めて扱い、気象潮と呼んでいる。これを区別して、純粋に天体の起潮力による水位変化の成分を指すのに、天文潮という言葉が使われる。
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潮汐の各分潮の内、月による起潮力によって起こされるものを太陰潮という。月による起潮力の大きさは、太陽による起潮力のほぼ2倍であり、潮汐による水位変動で太陰潮が最も卓越している。
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潮汐の各分潮の内、太陽による起潮力によって起こされるものを太陽潮という。太陽による起潮力の大きさは、月による起潮力のほぼ半分程度であり、潮汐による水位変動では太陰潮が最も卓越しているが、太陽潮との位相関係によって、大潮・小潮等の複雑な潮位変動が起こされる。
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各起潮力成分で起こされた潮汐波は、外洋ではほぼ正弦波形をしているが、浅海域に侵入してきた時、海底地形の効果のため著しい変形を受け、1/2周期あるいは1/3周期の成分が現れる。したがって、潮汐予報を行う場合、このような成分を分潮として考慮に入れる必要があり、そのような成分を倍潮と呼ぶ。起潮力ポテンシャルで最も卓越する主太陰半日周潮と主太陽半日周潮の倍潮だけを考慮することが多い。
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船舶が海上で感じる地震波動を海震という。海底の地震動が音波として海中を伝わってきたもので、短周期の上下動が卓越する。激しいときには船に被害を生じることがあるが、海震が感じられるのは、震源地の直上か、非常に近い海域に限られる。
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北海道東岸の陸棚上を、春期に南西に流れる海流をいう。千島列島南部の海峡を通ってオホーツク海から流出してきた低温(2℃ 以下)・低塩分(33.0以下)よりなり、沖合いの親潮水とは異なり、その生成にはオホーツク海の海氷の融氷がかかわっている。沿岸親潮水は北海道東岸域や噴火湾の海況とその季節変化に大きな影響を与える。十勝沖沿岸流と呼ばれることもある。
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海洋観測資料の整理に必要な種々な量の間の換算表等を載せたもので、海洋観測指針の別冊付録として発行されている。比重計の更正表、塩素量と塩分の換算表、水温・塩分からσtを求める表等力学計算に必要な諸表、酸素飽和量の表等が載せられている。
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外洋水に対比して用いられる言葉で、厳密な定義はなく、場合によって異なる。内湾の現象を論じるときは、河川水・陸水の影響を受けた沿岸に極近い部分の水を、湾外からの外洋水と区別することがある。また、例えば東シナ海では、広い大陸棚上の水全体を、陸棚縁を流れる黒潮域およびその沖合いの水(外洋水)と対比して、沿岸水と呼ぶことがある。
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沿岸水に対比して用いられる言葉で、河川水・陸水あるいは浅海での潮汐混合の影響を受けていない海水をさすわけであるが、明確に定義されているわけではない。陸棚斜面から沖、あるいは黒潮の流れるわが国の南岸では黒潮域およびその沖合いの水を指すことも多い。内湾域の沿岸近くの水を、外洋から流入した水と区別して用いることもある。
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地球の自転のために、水平方向に運動する物体には、北(南)半球では運動の方向に対して直角右(左)向きに、見かけ上の力が働く。この力をコリオリの力、または転向力あるいは偏向力という。その大きさFは、緯度をф、速度をV、地球の自転の角速度をωとして、
で与えられる。このVにかかる係数2ωsinфを通常fで表わし、コリオリの因数と呼ぶ。
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表層の数百mを除くと、日本海は水温・塩分がほとんど一様な均質な海水で満たされており、この水を日本海固有水と呼ぶ。固有水は日本海の海水の85%を占め、水温は0.0〜0.5℃、塩分は34.0〜34.1psuの範囲にある。溶存酸素量は海底近くでも 5.0〜5.5ml/lと隣接する海洋に比べ著しく高く、この海水は外部から流入してきたものではなく、日本海北部で冬期の冷却作用によって作られたもので、その滞留時間も高々百年のオーダーとされる。
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水中の生物の中で、水中に浮遊し、自分自身の運動能力が無いか、あってもきわめて弱いものをプランクトン(浮遊生物)という。これに対して、魚のように大きな運動能力を有するものをネクトンという。生態的な分類であるため、プランクトンはきわめて多様で、植物(植物プランクトン)から動物(動物プランクトン)までを含み、1m以上の大きさのくらげから、数μの原生動物や珪藻まで種々の大きさを持つ。
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自らの運動器官を用いて水中を遊泳する生物をネクトン(遊泳生物)と呼ぶ。水生生物を生態的に、ネクトン、プランクトン(浮遊生物)やベントス(底生生物)に分類する。海獣類や成長した魚類はネクトンであるが、遊泳力の小さい魚卵や稚魚はプランクトンに分類される。
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海底あるいは水底に定着するか、海底を這って生活する生物を総称してベントス(底生生物)と呼ぶ。水生生物を生態的に、ネクトン(遊泳生物)、プランクトン(浮遊生物)およびベントスに分類する。貝類や甲殻類、きょく皮動物等がその代表的な例であるが、その中にはかなり遊泳するものがあり、ネクトン等との区別は必ずしも厳密ではない。
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速度ベクトルの二乗平均が運動エネルギーに関連する量であるが、これに対し渦度の二乗平均(の1/2)をエンストロフィと呼ぶ。理想流体においては、エンストロフィは運動のエネルギーと共に保存される。回転場を扱う地球流体力学において、エンストロフィはしばしば用いられる。
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北大西洋海流の一部は、スコットランド北西沖を通ってノルウエー海に入りスカンジナビア西岸沿いに北上する。この部分の海流をノルウエー海流と呼ぶ。流れはノルウエー北方で二つに分かれ、一つはスカンジナビア北岸沿いにバレンツ海に入り、一つはスピッツベルゲンの南西沖に向かうスピッツベルゲン海流となる。この海流の流量は毎秒300万トン、流速も25cm/s程度であるが、北極海の海況・北欧の気候に大きくかかわっている。
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海面の昇降で1年の周期を持つものを云う。主として海洋表層の温度・塩分の季節変動による膨張・収縮、海面気圧の季節変動によるものであるが、潮汐の一つの分潮として扱われる。気象潮の一つで、Saという記号が用いられる(Sa分潮)。天文潮と異なり振幅や位相が年々変化するので正確な予測は難しい。
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砕波帯を突き抜けて沖に向かう、幅の狭い大きな流速を持つ流れをリップカレントと云う。離岸流と訳されている。波浪の質量輸送にともない、海浜に集積した水が沖に戻る時、狭い帯状になるもので、波浪流あるいは海浜流と呼ばれる流れの一つである。流速は1m/sを超すことがある。
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大気における気象に対応した言葉で、海洋における物理学的・化学的・生物学的な諸現象を総称するのに用いられる。他に海況という言葉があり、大気の天気に対応するが、両者の区別は明確とは言い難い。
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月による起潮力を調和分解して展開したとき、M2分潮に次いで大きな成分である。O1分潮とも呼ぶ。周期は25.82時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)が0.189である。
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月による起潮力を調和分解して展開したときの最大の振幅をもつ項。M2分潮とも呼ぶ。周期は12.42時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)が0.454である。主太陽半日周潮の係数0.21137に比べて2倍以上の大きさを持つ。通常一日に二回の干満があり、その時刻が一日に約50分遅れるのは、このM2分潮が卓越しているからである。
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太陽による起潮力を調和分解して展開したとき、ほぼ1日の周期を持つ項で、P1分潮とも呼ぶ。周期は24.07時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)が0.088である。
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太陽による起潮力を調和分解して展開したときの最大の振幅をもつ項。S2分潮とも呼ぶ。周期は12.00時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)が0.211である。主太陰半日周潮(M2分潮)の係数0.454に比べて半分以下の大きさである。このS2分潮とM2分潮が同位相になったときに大潮が起こり、逆位相になったとき小潮が起こる。
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月による起潮力を調和分解して得られる分潮で、月の軌道の離心率が直接関係する成分を太陰長円潮あるいは太陰楕円潮と呼ぶ。半日潮成分はN2分潮とも呼ばれ、周期12.66時間、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)は0.088であり、分潮としては五番目の大きさを持つ。また、日周潮成分はQ1分潮と呼ばれ周期26.87時間、係数0.037である。
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月および太陽による起潮力を調和分解したとき、同一の周期を持った項が現れる。この両者の和からなる分潮で、ほぼ半日の周期のものを日月合成半日周潮、あるいはK2分潮と呼ぶ。周期は11.97時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)は0.05752である。
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月および太陽による起潮力を調和分解したとき、同一の周期を持った項が現れる。この両者の和からなる分潮で、ほぼ1日の周期のものを日月合成日周潮、あるいはK1分潮と呼ぶ。周期は23.93時間で、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)(係数と呼ぶ)は0.26522である。この係数はS2分潮より少し大きく、M2分潮に次ぐ二番目の大きさを持つ分潮である。
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潮汐の分潮の中でほぼ1日の周期を持つものを日周潮と呼ぶ。日周潮の主要なものは、日月合成日周潮(K1分潮、周期23.93時間)、主太陰日周潮(O1分潮、周期25.82時間)、主太陽日周潮(P1分潮、周期24.07時間)、太陰長円潮(Q1分潮、周期26.87時間)と気象日周潮(S1分潮、周期24.00時間)である。
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潮汐の分潮の中でほぼ半日の周期を持つものを半日周潮と呼ぶ。半日周潮の主要なものは、主太陰半日周潮(M2分潮、周期12.42時間)、主太陽半日周潮(S2分潮、周期12.00時間)、太陰長円潮(N2分潮、周期12.66時間)、日月合成半日周潮(K2分潮、周期11.97時間)である。
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潮汐が浅海部に侵入してくると、波速の減少にともない波高が増大するが、非線型効果のため波形の変形によって元の振動数の2、3、4倍の振動数をもつ倍潮、あるいは異なった二つの分潮のそれぞれの振動数の和あるいは差の振動数を有する複合潮が現れる。このように浅海域で現れる分潮を浅海潮と呼ぶ。
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潮汐が浅海部に侵入してくると、波速の減少にともない波高が増大する。そうすると、非線型効果のため、水位変化は単純な各分潮の波形の重ね合わせで表せず、異なった二つの分潮のそれぞれの振動数の和あるいは差の振動数を有する成分が現れる。このようにして生じる分潮を複合潮と呼ぶ。また複合潮、倍潮を合わせて浅海潮と呼ぶ。
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潮汐の分潮の中で、半月程度以上の周期を有するものを長周期潮と呼ぶ。その主要なものは、太陰半月周潮(Mf分潮、周期327.86時間、係数0.078)、太陰月周潮(Mm分潮、周期661.30時間、係数0.041)、太陽半年周期(Ssa分潮、周期4382.76時間、係数0.036)と主として気象的な原因による太陽年周潮(Sa分潮、周期8765.82時間)である。ここで係数というのは、海面の凹凸が起潮力に静力学的に釣り合ったとしたときの振幅(m)に対応する。
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地球をめぐる月の軌道は、太陽の引力の影響を受けるため、完全な長円にはならず複雑な曲線を描く。この摂動部分に起因する月の起潮力成分から多くの分潮が生じるが、その主要な二項の中で、31.812日の周期を持つものを出差潮と呼ぶ。あと一つの主要項は14.765日の周期を持つ二均差潮である。
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地球をめぐる月の軌道は、太陽の引力の影響を受けるため、完全な長円にはならず複雑な曲線を描く。この摂動部分に起因する月の起潮力成分から多くの分潮が生じるが、その主要な二項の中で、14.765日の周期を持つものを二均差潮と呼ぶ。あと一つの主要項は31.812日の周期を持つ出差潮である。
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月令に応じて大潮・小潮が起こるが、同じ月令に対しても、月までの距離によって潮差が異なる。月が地球から最も遠ざかってまもなく起こる潮差の小さい潮汐を遠地点潮という。これに対して、月が地球に最も近づいてからまもなく起こる潮差の大きな潮汐を近地点潮という。
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周期的に規則正しく海水面が昇降する現象を潮汐という。その主要な成分は、月および太陽の起潮力によって起こされ、その部分を天文潮と呼ぶ。一般に半日に近い周期の変動が卓越し(半日周潮)、1日に近い周期の変動がこれに次ぐ(日周潮)。この他、気象的な原因によるものがあり、その部分を気象潮という。天体の起潮力によって、大気にも大気潮汐と呼ばれる運動が起こる。また、地球の地殻も起潮力により周期的な変形を起こすが、その現象を地球潮汐と呼ぶ。
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一定の規準面から測った海面の高さを潮位と呼ぶが、風浪やうねり、港湾の固有振動(セイシュ)等の短周期変動成分を除き、それをならした、潮汐周期より長い半日以上のゆっくりと変動する成分を指す。したがって、潮位の変化は、主として潮汐によるが、海流の強さの経年変化や、陸氷の融解のような原因による、非常に長い時間スケールで変化する海面水位についても潮位という言葉を用いる。潮位のかわりに潮高と言うこともある。
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実際の潮位の推算潮位(潮位の予報値)からの偏差を潮位偏差という。ただし、推算潮位の中で、気象潮である年周潮成分の予測精度は悪いので、月平均潮位について観測値が推算値に一致するように各月の規準面を調節しておいてから、潮位偏差を計算するのが普通である。潮位偏差を起こす原因は種々あるが、気象擾乱によっておこされる高潮(たかしお)が、その代表的なものである。
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海水の清濁の度合を表す指標で、海水中に白色の円板(透明度板)を沈めていき、それがちょうど見えなくなる深さで定義する。この深さは、透明度板からの反射光とその上にある海水からの散乱光との相対的な強弱により決まるため、空の晴曇・明るさにはほとんど関係しない。黒潮域の透明度は30〜40m、親潮域で10〜15m、測定された最高値はサルガッソー海で得られた66.5m である。測定法が簡単なため、現在でもしばしば用いられる。
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海水の透明度を測定するための直径30cmの白色の円板で、下部におもりを付け、水平を保ちながら船上からロープで下ろし、ちょうど見えなくなった深さを測定し、それを透明度と定義する。考案者であるイタリアの天文学者、イエズス会士 P. A. Secchi (1818-1878)の名前をとって、セッキー板とも呼ばれる。通常艶消しラッカーを用いて白色に塗られるが、色調に多少の違いがあっても測定値には関係しない。
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北大西洋の亜熱帯循環の内側の、ほとんど流れのない海域(およそ20〜-40°N, 30〜-80°Wの範囲)を言う。ホンダワラ類(Sargassum)が多く漂っていることから、この名が付けられており、藻海あるいは大藻海と訳される。西インド諸島やフロリダ海岸の海藻が波にさらわれて流れ藻となり、湾流に運ばれてきたものである。この海域の水温・塩分は他の海域に比べて高い。また、プランクトンが非常に少なく、世界で最も透明度の高い海域である。
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海浜域に見られる周期が2〜3分程度の水位の変動をいう。海岸に押し寄せる波には、音波のうなりのように、通常高い波がしばらく続いた後、低い波が続く性質を持つ。これに応じて、高い砕け波が続いたとき一時的に碎波帯付近の水位が高まり、低い波が続いた時水位が低くなる現象が、サーフビートを起こすと考えられている。
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海洋中で水温・塩分・密度などの鉛直勾配が特に大きく、それを境に上層と下層に分け得るような部分を躍層という。躍層という言葉は単独では通常用いられず、特に英語では直接、躍層に対応する言葉がない。対象とする量に応じて、水温躍層(thermocline)、塩分躍層(halocline または salinocline)、密度躍層(pycnocline)というように用いる。これらの躍層は、たがいに関連して形成されるから、大まかに見れば同じ層を指すように見える場合が多いが、厳密には一致しない。
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海洋中の水温は、一般に深さと共に減少していくが、その鉛直勾配が特に大きな層を水温躍層という。中緯度の海洋では、冬期海面を通しての冷却によって生じる対流の及ぶ層である表層混合層の下に顕著な水温躍層があり、これを主水温躍層と呼ぶ。夏期には海面近くが暖められて、表層混合層の中に二次的な水温躍層が生じることが多いが、このような水温躍層を季節躍層と呼ぶ。高緯度海域を除くと、水温は海水の密度を決める最も大きな要素となるため、水温躍層は通常密度躍層にほぼ対応している。
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中緯度の海洋では、比較的水温・塩分の一様な表層混合層の下に顕著な水温躍層があり、これを主水温躍層と呼ぶ。主水温躍層は、ゆるやかに上昇して来る深層の冷たい水と、上部混合層からの加熱のバランスによって維持されていると考えられる。亜熱帯域での主水温躍層の深さは数百mであるが、亜寒帯前線付近で躍層は表面に出て、それより高緯度では冬期の混合は、かなりの深さに達し、主温度躍層は見られない。主温度躍層は顕著な密度躍層をなしており、モデル計算等では、この躍層を境に海洋を上下二つに分ける二層近似がしばしば用いられる。
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海面を通しての加熱が著しい晩春から夏期にかけて、表層混合層の中に水温の鉛直勾配が大きな層が生じ次第に発達していくが、この水温躍層を季節躍層という。海面の冷却が始まる秋期から、海面近くに新たな混合層が生じ、対流や風・波による混合作用によって発達していくが、これに応じて季節躍層の深さも増大してゆき、厳冬期には主水温躍層に吸収される。
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海洋中の塩分の鉛直分布において、塩分の鉛直勾配が大きな層を塩分躍層という。北太平洋の中緯度では、塩分極小層が主水温躍層の下にあり、主水温躍層内では塩分は下方に向かって減少しており、水温勾配による密度成層を若干打ち消す形になっている。塩分躍層が密度成層に大きく寄与しているのは、北太平洋の亜寒帯海域で、100〜200mの厚さの表層混合層の下部に、下方に向けて塩分の増大する非常にシャープな塩分躍層が見られる。
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海洋の物理学的特性の一つは、その著しい成層構造にあり、海水の密度は深さと共に増大していく。この密度の分布において、特にその鉛直勾配の大きな層を密度躍層と呼ぶ。中緯度においては、主水温躍層にともなう密度躍層が顕著である。海洋の力学的なモデルとして、この密度躍層を境に海洋を上下に分けて考察する二層モデルが、よく用いられる。亜寒帯海域では、塩分躍層にともなう密度躍層が重要となる。
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海洋中のゆるやかな上昇流を湧昇という。湧昇する水の速度は、高々一日に1m程度であるが、海洋の成層構造を変化させ、冷たい下層の水を表層にもたらし、海況や周辺の気候に大きな影響を与える。また、下層の水は栄養塩に富んでいるため、湧昇域では生物生産が大きく、一般に好漁場をなしている。湧昇域は面積は世界の海洋の0.1%に過ぎないが、その生産量は全海洋の約半分を占める。代表的な湧昇域は、カリフォルニアやペルー沖等の大洋の東岸(沿岸湧昇)および赤道域(赤道湧昇)にある。
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地球自転にともなうコリオリの力が働くため、表層の水は全体として北(南)半球では風の方向に直角右(左)向きに運ばれる(エクマンの吹送流)。したがって、海岸を左(右)に見て海岸に平行な風が吹くと、沿岸域の表層水は沖に運ばれ、一方が海岸に遮られているため、その後に下層の冷たい栄養塩に富んだ海水が湧昇してくる。この現象を沿岸湧昇と呼ぶ。太平洋上に高気圧が発達する夏期に、北風の卓越する北半球のカリフォルニア沿岸や、南風の卓越する南半球のペルー沿岸が代表的な沿岸湧昇域である。
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赤道域は、貿易風による東風が卓越している。地球自転にともなうコリオリの力が働くため、表層の水は全体として、風の方向に北半球で直角右向きに、南半球では直角左向きに運ばれる(エクマンの吹送流)。したがって、赤道付近の表層水は南北に運ばれて、その後に下層の冷たい水が湧昇してくる。この現象を赤道湧昇と呼ぶ。エルニーニョ現象が起こるとペルー沖の沿岸湧昇域と太平洋赤道湧昇域の冷水域の水温が異常に上昇し、世界の気象に異常現象を引き起こす。
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航海日誌を指す場合と、船の航走速度あるいは航走距離を測定する機器を指す場合がある。前者の場合、ログブック(log book)と言うことも多い。後者には測定方法により、ピトー管を用いる流圧式ログ、電磁流速計の原理を用いた電磁ログ、音波を出し水中の微粒子からの反射音のドップラー・シフトを測定する音波ログ等がある。音波ログは船速に相対的な流速の鉛直分布を航送中の船から連続的に測定し得るので、むしろADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)として、流速計と見なされることも多い。
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航送中の船の船底から、音波を出し、水中の微小粒子からの反射音のドップラー・シフトを測定して船と相対的な流速を測定する測器。反射音が返って来るまでの時間から、どの深さの微小粒子からの反射であるかを推定出来るから、流速の鉛直分布を得ることが出来る。海が浅ければ、海底からの反射音によって絶対流速が得られる。ロラーンや衛星による位置決定精度が上がり、船速が精度良く推定されるようになり、広く使用されるようになった。船速を測定する測器として音波ログと呼ばれることもある。
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海水を断熱的にある規準の深さまで持ってきたとき、その海水の示す水温をポテンシャル水温または温位という。これに対し、その場所での水温を現場水温という。規準の深さは特にことわらない場合は海面にとる。それ以外の場合は、深さ何mにおけるポテンシャル水温と言う。この規準の深さ(圧力)で、ポテンシャル水温と塩分から得られる海水の密度をポテンシャル密度という。これらは海洋の成層の安定性を論じる場合等で用いられる。
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海水の測定された場所における水温。これに対して、その海水をある規準の深さまで断熱的に持っていったときに示す水温をポテンシャル水温という。現場水温は、水塊の上下移動に対して保存されないから、海洋の成層の安定性を論じるときや、水塊分析等ではポテンシャル水温が用いられることが多い。
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海水を断熱的にある規準の深さまで持ってきたときに示す水温をポテンシャル水温と呼ぶが、この温度と海水の持つ塩分とから求められた海水の密度をポテンシャル密度という。海水は上下移動に際して膨張・収縮するから成層の安定度を考えるときは、ポテンシャル密度を用いる。また、海水はその面上で位置を交換しても、その場所で周辺の海水と同じ密度を持つような面に沿って、主として移流あるいは混合する性質を持つ。この面は、近似的に等ポテンシャル密度面で与えられる。
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海水が存在している場所における密度をいう。海水の密度は、水温、塩分および水圧によって決まる。海流を推算する力学計算の際、水温・塩分の分布から海水の密度場・圧力場を求めるが、このときの密度は現場密度を用いなければならない。海洋情報の互換性を図るため、水温・塩分・水圧から現場密度を求める規準式・アルゴリズムは、国際的な委員会で与えられている。
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