鉄・マンガン団塊(多金属団塊)
鉄・マンガン団塊はじゃがいも状の塊(一般に黒褐色で、多くが1〜10cm程度の径)で、深海の表面を敷き詰めるように分布する。団塊の成長速度は百万年で数mm程度である。
マンガン団塊の主成分は、鉄、マンガンであるが、そのほかに有用金属としての銅、ニッケル、コバルトなどを含むことから、重要な海底鉱物資源と目されている(表1)。
マンガン団塊の存在そのものは、一世紀前から知られていた。とくに、1970年代に、銅の価値が急騰したことから、先進国を中心に海底資源の開発への気運が高まった。その後、市況の著しい混乱もないことから、採掘意欲は一時程ではなくなったが、日本を含めた先進国は、将来の開発・利用を前提に調査・研究を展開している。最も有望視されている海域は中部太平洋で、各国の調査もここに集中している。
表1 三大洋別マンガン団塊の金属含有率(%) サイボルドほか(1986)から抜粋
平均 |
範囲(太平洋とインド洋) |
|
太平洋 |
インド洋 |
大西洋 |
最大値 |
最小値 |
Mn |
17.2 |
14.9 |
13.6 |
34.00 |
5.41 |
Fe |
11.8 |
14.6 |
15.5 |
26.32 |
4.36 |
Ni |
0.63 |
0.38 |
0.33 |
2.00 |
0.13 |
Co |
0.36 |
0.31 |
0.24 |
2.57 |
0.045 |
Cu |
0.36 |
0.17 |
0.16 |
2.5 |
0.028 |
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