熱水鉱床
海底火山活動のみられる中央海嶺(大洋の中央付近にみられる海底山脈)や火山性列島の周辺海域に、熱水鉱床が知られている。
このような海底には、熱せられた高温水(数百度に達する)が、海底の割れ目を通して噴出している(図1)。
噴出孔とその周辺には、熱水からの沈澱物が堆積して、スモーカーと呼ばれる煙突構造(5 mに達するものもある)やマウンド(小高い山)構造をつくる(図2)。これらの沈澱物には、しばしば有用金属(鉛、亜鉛、銅、銀、金など)を大量に含み、陸上の金鉱よりも高い金含有量を示すものもある。(表1、2)
上: 図1 熱水活動の様式 (科学技術庁資源調査会,1984),下: 図2 水曜海山の海底熱水活動
表1 水曜海山で採取した熱水鉱床の分析値
サンプルNo. |
927160404 |
562S-4-2 |
9271715 |
927160202 |
硫化物の平均 |
金(g/ton) |
71 |
52 |
22 |
0 |
25 |
銀(%) |
0.0336 |
0.0313 |
0.0145 |
0.0014 |
0.0176 |
銅(%) |
1.58 |
0.405 |
16 |
34 |
10 |
鉛(%) |
0.337 |
4.57 |
0.244 |
0.0028 |
0.704 |
亜鉛(%) |
43 |
43 |
11 |
0.182 |
13 |
注: 硫化物の平均は12試料の平均値である。
表2 海底熱水鉱床の分析値比較
地域 |
沖縄舟状海盆 |
東太平洋海域 |
産地 |
伊是名海穴 |
伊是名海穴 |
東太平洋海膨 |
金(g/ton) |
14 |
8 |
6.7 |
銀(%) |
1.1 |
--- |
0.0229 |
銅(%) |
4.0 |
0.056 |
0.50 |
鉛(%) |
4.0 |
1.7 |
0.59 |
亜鉛(%) |
24 |
0.17 |
30.8 |
報告者 |
地質調査所(1988) |
大森他(1990) |
ハニングトン(1986) |
注: 表2は金の含有量が最も多かった試料の値である。
(図2、表1、2は海上保安庁海洋情報部資料、1992)
|