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海底火山

明神礁 西之島 福徳岡ノ場 海徳海山 薩摩硫黄島

2006/03/24 「著作権について」を改正
2002/01/04 「著作権について」を追加
1998/04/17 海底火山用語集目次に追加
1998/01/08 手石海丘の動画ファイル(972KB QuickTime Movie. 提供:海上保安庁)を追加
1997/12/24 初版

目次

  1. 海底火山てなあに?
  2. 火山が活動するってどんなこと?
  3. 海底火山と陸上の火山は違うの?
  4. どのくらい海底火山は噴火している?
  5. 海底火山の噴火で日本が広くなる?
  6. 日本近海の海底火山と火山活動
  7. 世界の海底火山
  8. 海底火山用語集
  9. 著作権について

1. 海底火山てなあに?

日本は火山国といわれ、北海道から九州までたくさんの火山が見られます。 数年前に火砕流で大変な被害が出た雲仙普賢岳や桜島のように噴煙を上げていればすぐにわかると思いますが、それ以外にも富士山のように今は静かにしている火山もたくさんあるのです。 でも、火山は陸の上だけにあるのではありません。 日本の周辺の海の中には陸上よりもずっと多い火山が隠れているのです。 これを海底火山と呼んでいます。

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2. 火山が活動するってどんなこと?

火山とは、岩石がドロドロに溶けたマグマが地表に出て作った地形のことです。 マグマはマントル内で生成され、長い年月をかけて上昇し、地下数キロメートルに集積して、マグマ溜まりを作ります。 このマグマ溜まりから急速にマグマが上昇してマグマが地表面に噴出し、溶岩・火山岩・火山灰・火山ガスなどの形で放出されます。 このような経過を総称して火山活動といいます。

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3. 海底火山と陸上の火山は違うの?

ところで、海底火山は陸上の火山とはほとんど違いはありません。 ただ、海の中にあるために、噴火の形態が違うだけです。 一つには水の中は水圧がかかるからです。 水深が10mで陸上の2倍の圧力がかかりますから、数千mの深海底にある海底火山は陸上の数百倍の圧力(数百気圧)がかかることになります。 陸上の火山のようにマグマに含まれている水分が水蒸気となって膨張し、ときには爆発的な噴火を起こしますが、深海底では高い水圧のため、マグマ中の水分が水蒸気になれないため、爆発的な噴火は起きません。 ただし、水深数十mにある場合は、水蒸気となって膨張します。 それとともに、1000℃以上の温度を持つマグマが海水に触れ、周辺の海水も一気に水蒸気となって膨張し、猛烈な爆発を起こすこともあります。 このことをマグマ水蒸気爆発と呼んでいます。

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4. どのくらい海底火山は噴火している?

先ほど説明したように、日本近海には数多くの海底火山が存在します。 海底火山の活動は、明治以来最近に至るまでその例は少なくありませんが、発見者の多くは操業中の漁船や航行中の船舶・航空機で、火山活動の発見後に確認作業や調査が行われるというのが通常です。 その調査にしても、海底火山の多くが陸上から遠いところにあることや、噴火口が見えないことから海面に現れた海水の変色や軽石の噴出などからしか現象をとらえることができません。 そのため、時期や場所によっては、噴火が起こったことさえ気づかれないことがあります。 むしろ、気づかれない噴火の方が多いと考えられます。

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5. 海底火山の噴火で日本が広くなる?

火山が噴火すると溶岩、岩石、灰などが地表に噴出することは先ほど話しましたが、これが大量になると堆積していきます。 そして海面の上に島として姿を現すこともあるのです。 もちろん、島ができることはまれですし、たとえ島ができても波に削られたりして、いつかは海面の下に隠れるなど、そのまま島となっていることはあまりありません。 それでも、近年にその例がいくつかあります。 そうなれば、日本の国土が広くなるわけです。

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6. 日本近海の海底火山と火山活動

それでは、日本近海にある主な海底火山を紹介しましょう。

明神礁西之島手石海丘福徳岡ノ場海徳海山薩摩硫黄島


明神礁

東京の南方約420kmに位置するカルデラ地形の北東の縁にある海底火山で、いわゆる外輪山です。 カルデラの東側の縁には、数個の小岩(海面上に姿を現している)があり、これをベヨネース列岩といいます。 明神礁はきれいな円錐型の山体で、山頂の一番浅い水深は22.5mです。

この火山は、明治以後たびたび噴火を繰り返してきました。 特に1952年〜1953年にかけての火山活動は活発で、大爆発によって新島が形成されるほどでした(後に消滅)。 1952年9月には、明神丸からの通報を受けて、この火山活動を調査しに行った海上保安庁水路部(現 海洋情報部)の調査船「第五海洋丸」が噴火に巻き込まれ、31名の尊い人命が失われたという痛ましい事故もありました。 明神礁という名はこの火山活動のときに命名されたものです。

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西之島

東京の南方約960km、父島西方の約130kmにある無人島です。 1973年、西之島のすぐ側の海底で火山活動が始まり新島を形成しました。 1974年に活動は休止しましたが、新島はその後、西之島と接続し現在でも島の一部として存在します。 この島は標高が約25mしかありませんが、実は周辺の海底の平らなところからの高さは約4,000mもあり、富士山よりも大きな火山なのです。

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手石海丘

画像をクリックすると動画が見られます. (972KB QuickTime Movie file. 提供:海上保安庁)

伊豆半島東部地域には多数の火山がありますが、その東方海域にも海底火山が密集しています。 この海域では、過去たびたび群発地震が発生し、1989年には、群発地震火山性微動とともに、伊東市の沖で噴火が起こりました。 手石海丘はこの噴火で誕生した新しい火山で、直径約450m、高さ10mで、最浅地点の水深は81m、火口の直径は約200mで、火口の最深水深は122mです。

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福徳岡ノ場

東京の南方約1,300kmにある海底火山で、高さが約250m、楕円形に近い地形をしています。 一番浅い水深は14.6mです。 この火山は、現在でもたびたび火山活動が見られ、明治以後に3回新島を形成しました。 しかし、島はいずれも波や風による侵食を受けて水没しました。

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海徳海山

東京から南に約1,100kmにある高さ2,700mの海底火山です。 火山は三つの峰からなり、東側の峰は東海徳場と呼ばれています。1984年にはこの東海徳場(ひがしかいとくば)で噴火があり、海水の変色が広域にわたって見られました。 その後現在まで、火山活動を示すような現象は見られません。

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薩摩硫黄島

九州の佐多岬の南西約35kmには、東西21km、南北18kmのカルデラがあります。 薩摩硫黄島は、このカルデラの北の縁にあり、この島にある硫黄岳は標高が704mで、カルデラが形成された後にできた新しい火山です。 硫黄島の東方2kmには、1934年〜1935年の噴火によって新島が誕生し、その後の侵食にも耐えて現在でも存在しています。 この島を、昭和硫黄島または硫黄新島と呼んでいます。

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7. 世界の海底火山

もちろん世界にもたくさんの海底火山があります。 プレート同士が離れるところ(地下から上昇して、生まれるところ)を海嶺、海膨といいますが、ここには地表まで達する深い割れ目ができて、地中からマグマが供給されています。 海嶺や海膨は海面下にあるため、普段私たちの目に触れることはありませんが、ヨーロッパのアイスランドは大量のマグマが噴出し海面上に姿を現した海嶺の一部です。 これも火山といえるでしょう。

移動するプレートは、いつかは他のプレートとぶつかります。 このとき一方のプレートは地中に潜り込んでいきますが、他方のプレートも引きずられて、二つのプレートの間には深い溝(海溝)が形成されます。 日本海溝はこうやってできたといわれています。 このようなプレートのぶつかるところから、200〜300kmの離れたところには、溝に平行して火山が帯状に並んでみられます。 これを火山前線ともいいます。 日本にある火山はこの火山前線の上にあります。

このほかに、ホットスポットと呼ばれるマグマのでやすい場所があります。 ホットスポットは地球に固定されていて、プレートを突き抜けて火山を形成させます。 火山を乗せたプレートは年間数cm移動するので、そのうちホットスポットよりマグマの供給が絶たれて、火山活動は休止します。 ハワイ諸島はその典型的な場所です。 今、活動している南東端のハワイ島から北西に向かって、マウイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島と続いています。 ハワイ島以外の島は現在では、ホットスポットを外れていますので死んだ火山となっています。

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8. 海底火山用語集

火砕流

高温の火山ガスに火山灰や岩の塊が混じり合い、火山の斜面に沿って高速で流れる現 象をいいます。 時速数十kmから場合によっては時速200kmくらいの速さです。 雲仙普賢岳では最大6kmの範囲まで流れました。

カルデラ

九州の阿蘇山が有名ですが、カルデラは火山性のほぼ円形をしたくぼみです。 この地形は、古い火山の火口が風雨により浸食されて大きくなったものや、爆発的な噴火によって山頂部が吹き飛ばされてできたものや、短い時間の間に大量のマグマが噴出して、地面が陥没してできたものがあります。 世界の主な大型のカルデラは陥没してできたカルデラです。

群発地震

きわだって大きな地震を含まない地震の群が起こる場合を群発地震と呼んでいます。 特徴は、震源が地表から浅いところであることと、狭い地域に集中していることです。

火山性微動

火山性の連続的な振動です。 原因としては、地下でのマグマやガスなどの流体の移動が考えらます。

プレート

地球を断面で見ると、一番外側から地殻、マントル、外核、内核となっており、中心に近くなるほど重い物質で形成されています。 マントル下部にはアセノスフェアと呼ばれる柔らかい部分があり、その上に硬いマントル上部(地殻に近い方)と地殻とからなるプレートと呼ばれる部分が浮かんでいると考えられています。 地球表面はこのプレート数十枚により形成されています。 プレートはほとんど内部変形せずに水平方向に1年に数cm移動します。 プレートが移動するのは、アセノスフェアの中に生じるゆっくりした流れ(マントル対流)によるものといわれています。

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9. 著作権について

当ページに掲載されている画像および映像の著作権は明神礁を除き海上保安庁海洋情報部に帰属します. 明神礁の画像の著作権は小坂丈予(東京工業大学名誉教授)に帰属します. これらを利用または引用する場合には各々の著作権者から許諾を得てください.
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